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谷口彰悟が受けた衝撃の事実「ボールの受け方、タイミング、質...全然、できていないよ」筑波大で風間八宏監督に教わったこと (2ページ目)

  • text by Harada Daisuke

 フロンターレの監督時代も、「目をそろえる」「目を合わせる」といった表現をよく用いていたが、大学生を相手にも指導の基準は変わらなかった。

「この状況では、チームメイトはマークにつかれているわけではない」

「この場面では、味方はフリーの状態だから、パスを出せる」

 パスの出し手である自分が周囲を見渡し、チームメイトにマークがついていると判断してボールを下げようとしても、風間さんからして見たら、その選手はフリーという認識になるため、前にパスを出せる状況にあると教わった。

 また、自分がパスの受け手となる場合は、相手のマークを外す瞬間についても細かく指導を受けた。いつマークを外すのか、いつパスを受けるのかといった"タイミング"については事あるごとに説明を受け、練習を繰り返した。

 それまで、フリーの状況や場面、タイミングについては、当たり前にできていると思っていただけで、実際、細かく教わる機会もなければ、概念について深く考える機会もなかった。それを大学1年生になり、あらためて知り、学び、考える機会は、自分自身のサッカー観に大きな影響を及ぼした。

 すでに風間さんの指導を受けている2〜4年生はイメージが共有されているため、1年生である自分たちは、同じ感覚でプレーできるようになるまで練習した。

 1年生にして、関東大学1部リーグの開幕戦から先発に起用してもらったが、風間さんが「優勝を目指せ」や「タイトルを獲ろう」といった目標をはっきりと口にすることはなかった。

 練習試合の多くがJリーグのチームとの対戦ばかりで、風間さん自身が僕らに提示するのも「バイエルンにどうやって勝つか」「バルセロナをどうやって倒すか」といった海外のクラブを意識させるものばかりだった。リーグ優勝する、しないではなく、いかに自分たちの武器を身につけるか、個性を伸ばすかに着目してくれていたように思う。

 当然その過程には、次のリーグ戦にどうやって勝利するかという戦い方も含まれていたが、目線は常に僕らの卒業したあとや、さらに先の未来を見据えていた。

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