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谷口彰悟が受けた衝撃の事実「ボールの受け方、タイミング、質...全然、できていないよ」筑波大で風間八宏監督に教わったこと (3ページ目)

  • text by Harada Daisuke

 あらためて基礎的な練習をイチから行なうことに、大学生にもなれば反発しそうに思うかもしれない。しかし実際は、微塵も抵抗はなかった。

 なぜなら、その基礎的なものが、まったく自分はできていなかったことに気づかされたからだ。できているのであれば、反発や抵抗もあっただろう。だが、指摘されて意識してみると、まったくボールは止まっていないし、パスを出す機会を見逃しているし、さらにパスを受けるタイミングもずれていた。

 できないことを実感するため、反発するどころか認めざるを得ず、素直にやらなければいけないという思いや意欲が湧いた。

 大学生になり、ボールを止めて蹴るといった基礎に再び取り組んだことで、自分自身がうまくなったのかどうかは定かではない。しかし、明らかにプレー中の引き出しや選択肢が増えていった感覚はあった。

 自分の右足と、相手の体がこの距離ならば、パスは受けられる。このタイミングで味方が降りてくれば、相手との距離はこのくらい広がるからパスを通せる。今までは無意識だったものを意識化することによって、できることが増えたのだ。

 だから、対戦相手からしたらパスを通されないと思っていても、僕らにとってはパスを通せる距離のため、試合中も平然と狙っていった。まさにフリーの定義の概念が、自分たちと相手ではまったく違うことを感じる瞬間だった。

 川崎フロンターレや現在所属するアル・ラーヤンSC、そして日本代表でも、センターバックとしてプレーする自分の武器のひとつになっているパスやビルドアップの技術や考え方、それに伴う自信は、風間さんの指導のおかげだと思っている。間違いなく基礎技術は、できないよりはできたほうがいいし、低いよりは高いほうがいいだろう。

 一方で、30歳前後になってからあらためて感じていたのは、うまくなることにフォーカスしすぎていた自分がいた、という事実だった。

 たとえば、自分の内から湧き出てくるようなプレーへのイマジネーションやアイデア、チャレンジ精神など、失っていったというと語弊があるかもしれないが、自分自身が見落としてしまっていたものがあることに気がついた。

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