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サッカー日本代表・細谷真大より上田綺世のほうがパスを多く受けられたのはなぜか ベトナム戦で強者のゲーム運びに立ち位置変更の工夫 (2ページ目)

  • 中山 淳●取材・文 text by Nakayama Atsushi

【なかなかシュートを打てなかった前半】

 では、今回のベトナム戦で見えた修正ポイントはどこにあるのかと言えば、やはり攻撃面になる。5-4-1のブロックを敷くベトナムに対して、どのように攻略するのか。戦前から注目されていたそのポイントを、改めて掘り下げてみる。

 まず、この試合で森保一監督が採用した布陣は4-2-3-1。スタメンの2列目は、右から伊東純也、南野拓実、中村敬斗、そして1トップには、元日のタイ戦でフル出場した細谷真大が抜擢された。

 結果的に前半のうちに3ゴールをマークした日本だったが、立ち上がりから攻撃が機能していたとは言えなかった。

 実際、11分に幸先よく先制したものの、33分に逆転を許すまでに記録したシュートはわずか3本。得点シーンで菅原由勢と南野が連続して放った2本と、23分に守田英正の斜めのくさびを受けた南野が狙った1本だけだった。

 なぜ日本はなかなかフィニッシュに持ち込めなかったのか。ポイントは、日本が敵陣でボールを保持する際、5-4-1で守るベトナムに対して4-2-4の陣形になっていたことだった。

 つまり、ベトナムの最終ライン5人の前で、日本の前線4人(伊東、南野、細谷、中村)がボールを受ける場所を探すものの、その前ではベトナムの中盤4人がそれぞれのパスコースを遮断。特に縦パスを狙うボランチの遠藤航と守田から見ると、細谷と南野は相手のボランチ2枚(16番と11番)の陰に隠れる格好となっていたからだ。

 また、両サイドの伊東には3番が、中村には7番がマークし、両サイドバックの上がりについても、伊藤洋輝に8番、菅原に15番がマーク。それぞれがしっかりマッチアップする状況をベトナムに作られていた。

 無理して出したパスが引っ掛かり、時折ベトナムに前進を許すことになったのも、そこが要因のひとつだったのは否めない。しかもベトナムの選手たちにはパスをつなぐ技術もあったため、なかなか敵陣に相手を押し込みにくい戦況だったと言える。

 結局、前半に1トップの細谷が受けたパスは7本。そのうちバイタルエリア中央で受けた縦パスは2本で、ゴールチャンスは44分に伊東のショートパスを受けてボックス内でシュートしたシーンのみだった。その間、DFラインの裏を狙う動きも見せたが、パスコースが閉じられた状況だったこともあり、いずれも相手にパスカットされている。

 そんな状況においても、前半終了間際に個の力で2ゴールをマークして逆転に成功したあたりは、日本の底力と言っていいだろう。

 中村の逆転ゴールはもちろん、45分の南野の同点弾も、遠藤が相手の股下を抜く縦パスを通した後、受けた南野もシュートブロックにきたDFの股下を抜いてフィニッシュ。目の前に立ちはだかる相手を、キックテクニックで突き破ったゴールだった。

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