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サッカー日本代表・細谷真大より上田綺世のほうがパスを多く受けられたのはなぜか ベトナム戦で強者のゲーム運びに立ち位置変更の工夫 (3ページ目)

  • 中山 淳●取材・文 text by Nakayama Atsushi

【後半の陣形変化で優位に】

 日本の攻撃に変化が見えたのは後半から。1トップが細谷から上田綺世に代わったのもひとつだが、前半との大きな違いは陣形を変えたことにあった。

 守備時は前半同様に4-4-2だったが、敵陣でボールを保持した際の陣形は4-2-4から4-1-4-1に変化。もっとわかりやすく言えば、ベトナムの最終ライン5人の前に、日本も守田を含めた5人が立ったことだった(右から伊東、南野、上田、守田、中村)。

 こうなると、相手のボランチ2枚の背後に3人が立つため、日本にとっては中央のパスコースが増える。また、ベトナムの最終ライン5人がそれぞれマッチアップすることで、日本の前線5人の動き次第で、相手DFラインにギャップをつくりやすい状況にもなる。

 前半よりも、後半のほうが相手を敵陣に封じ込める時間が増えたのは、その影響と言っていいだろう。たとえば67分には、その効果と言えるシーンが見られた。

 相手のクリアボールを回収した谷口彰悟が上田に縦パスを入れると、上田がダイレクトで板倉滉に落とし、受けた板倉が右ハーフレーンの堂安律に縦パスを配球。それを堂安がフリックで背後の南野に預け、南野が堂安に戻すと、堂安は上田にスルーパス。そのパスは背後を狙う上田に合わなかったが、前半には見られなかった連動性のある攻撃だった。

 同じく前線で連動した攻撃は、85分に上田の追加点として結実した。遠藤、堂安、久保、上田とわたってフィニッシュ。ベトナムが終盤に疲弊していたとはいえ、次の試合につながるようなポジティブなゴールだったことは間違いない。

 その他、前半に1本だった伊東のクロスが後半になると5本に増加したこと、1トップの上田が12本のパスレシーブを記録したことも、ボール保持時に4-1-4-1に陣形を変えた効果となって表れている。

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