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なぜサッカー日本代表はタイ戦後半だけ5ゴール量産? 前後半の攻撃の違いは何か (3ページ目)

  • 中山 淳●取材・文 text by Nakayama Atsushi

【アジアカップでも相手の守備をこじ開けられるか】

 3点目となったオウンゴール後に生まれた82分のゴールを決めたのも、田中に代わって代表デビューしたボランチの川村拓夢。菅原由勢のクロスボールに対して、ゴール前のスペースに飛び込んでヘディングシュートし、GKがブロックしたこぼれを再びヘッドで叩き込んだ。

 これら3つのゴールは、いずれも前線のスペースをボランチが逃さずに活用したことで生まれたもの。そのスペースをつくっていたのが、細谷をはじめとする前線の選手たちの動きだった。

 もちろん、前半に1トップでプレーした伊藤(涼)にエクスキューズはある。練習時間が限られたなか、これが代表デビュー戦だったことがひとつ。また、アルビレックス新潟時代は4-2-3-1の1トップ下でブレイクしたが、現所属のシント=トロイデンでは3-4-2-1のダブルボランチの一角を務めているのも、感覚的なハンデとなったはずだ。

 そんななかでも、前線にギャップを見つけて伊東からスルーパスを受け、相手ペナルティーエリアで相手DFと1対1のシーンをつくることもあった(前半31分)。そこで前を向いて仕掛けるかどうかが堂安や南野とのキャラの違いかもしれないが、それを意識しながらプレー時間を増やせれば、十分に修正可能な部分だと思われる。

 いずれにしても、レギュラーメンバーが次々とピッチに登場した後半に見せた日本の攻撃には、引いて守る相手を攻略するためのスペースづくりとその活用という点で、ポジティブな材料が存在したことは確かだった。

 注目は、1月12日に開幕するアジアカップで同じようなことができるかどうかだ。14日に予定される日本の初戦の相手はフィリップ・トルシエ監督率いるベトナム。その後も、イラク戦(19日)、インドネシア戦(24日)と続く。

 果たして、日本はどのような攻撃で相手ゴールをこじ開けるのか。このタイ戦の後半で見せた攻撃アプローチを踏まえつつ、アジアカップ本番の攻撃に注目したい。

著者プロフィール

  • 中山 淳

    中山 淳 (なかやま・あつし)

    1970年生まれ、山梨県出身。月刊「ワールドサッカーグラフィック」誌編集部勤務、同誌編集長を経て独立。スポーツ関連の出版物やデジタルコンテンツの企画制作を行なうほか、サッカーおよびスポーツメディアに執筆。サッカー中継の解説、サッカー関連番組にも出演する。近著『Jリーグを使ってみませんか? 地域に笑顔を増やす驚きの活動例』(ベースボール・マガジン社)

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