「鎌田大地はどのポジションもできるように映るが、そうではない」日本代表のミャンマー戦での中盤3人をスペインの名指導者が分析 (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki

【監督の狙いを体現した田中碧のプレー】

 鎌田は繊細な選手なのかもしれない。ゴールができるからかといって、ポジションが前すぎると孤立してしまい、集中力を欠く場面が見られる。また、サイドで自由にやらせようとすると、自ら仕掛けるタイプではないだけに、物足りなさが残る。守備もできるが、守備的ポジションで使うのは、宝の持ち腐れだろう。どのポジションもできるように映るが、そうではない。

 中盤と前線を結びつけるラインをまたぐようにプレーしたとき、その卓越した技術とビジョンが最大限に活かされる。所属するラツィオではポジションが定まらないようだが......。

 南野もカナダ戦に続いて、かなり復調しているところを見せた。彼の場合は、セカンドストライカーとしてトップ下に近く、ゴールに対してさまざまな選択肢をとれるだけに、FWとリンクできるポジションだと力を発揮する。実際に、上田綺世の1点目ではすばらしいタイミングと軌道のパスを頭に合わせていたし、3点目では、上田が裏に抜け出すのが以心伝心でわかっていたようなラストパスだった。南野自身はストライカーではないが、ストライカーに合わせるプレーで力を発揮する。

 そして田中碧はアンカーでプレーしながら、チーム全体を前に押し出し、自らもペナルティエリア内に入ってゴールを狙った。森保監督の狙いを体現した、非常にハイレベルなプレーだったと言えるだろう。とりわけ密集した状態のミャンマーに対し、一瞬の綻びをつくように鎌田に入れた縦パスは極上で、ゴールのアシストになった。カタールW杯でも、ゴールへ入っていくプレーで貢献していたが、その質はさらに上がっている」

 エチャリはそう言って、3人のプレーを称賛した。そして、森保監督がチームを引き締め、勝つためのマネジメントに成功していたこともつけ加えている。

「選手はあまりに力の差があると、どこかで油断してしまう。ミャンマー戦の場合も、負ける要素は何もなかったが、フラストレーションがたまる試合になっていた可能性もあるだろう。こうした試合はモチベーションの作り方が大事になるのだ。

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