「ここでやるしかねぇ!」U-17日本代表のラッキーボーイがまたも得点 若きタレント軍団がW杯でさらに奇跡を起こすか

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki

 またしてもヒーローは、FW高岡伶颯だった。

 所属チームはJクラブでなく、日章学園高校。そんな(外国人記者から見て)異質なプロフィールも、彼が注目を集める理由である。

 試合後はサッカー熱の高い地元インドネシアのメディアに取り囲まれるのが恒例となった背番号11が、満面の笑みで口を開く。

「結果がついてきているのが、そう(多くの取材を受けることに)なってくれてすごくうれしいことだなと思う。まだまだ世界に(自分の名前を)広めていきたい」

高岡伶颯(右から2番目)が2ゴールを決めてセネガルに勝利し、グループリーグを突破したU-17日本代表。photo by Sato Hiroyuki高岡伶颯(右から2番目)が2ゴールを決めてセネガルに勝利し、グループリーグを突破したU-17日本代表。photo by Sato Hiroyukiこの記事に関連する写真を見る U-17ワールドカップのグループリーグ第3戦。ここまで1勝1敗で迎えた日本は、アフリカ王者のセネガルと対戦した。

 日本は引き分け以上で自力でのグループリーグ突破を決められるとはいえ、相手のセネガルはここまで2戦2勝。アルゼンチンをも葬った前線の個人能力の高さは、今大会でも屈指だろう。

 引き分けでもいい、は容易なタスクではなかったはずだ。

 しかし、日本の選手たちは、試合序盤から勢い込んで攻めてくる強力攻撃陣にも冷静に対応。押し込まれてもペナルティーエリアには入らせず、決定的なチャンスを作られることはほとんどなかった。

 もちろん、それでも時折放たれるパワフルなシュートには迫力があった。「相手はみんな、シュートを打てる時に足を振ってくるので、やっぱり打たれる怖さはあった」とは、ボランチを務めるMF中島洋太朗の弁である。

 だが、中島が「この試合は何としても勝ち点を取って帰らないといけなかったので、最低引き分けっていうのは、みんなの頭にあった。だから、とりあえず失点しないこと。勝ちにはいくけど、失点は絶対にしないということは、みんなが共有できていたし、みんながひとつの方向に向かって戦えたのがよかった」と振り返ったように、相手の得点をゼロに抑え続けた。

 そして、嵐が過ぎ去り始めた後半55分、2トップの一角に投入されたのが、高岡である。

「前日の練習から森山(佳郎監督)さんに『後半から準備しておけ』と言われていたので、しっかり準備はできていた」という高岡は、数少ないチャンスを見逃さなかった。

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