放送席は空のまま...世界が称賛したなでしこジャパンを評価しないのは「日本」だけだった (4ページ目)

  • リカルド・セティオン●文 text by Ricardo Setyon
  • 利根川晶子●翻訳 translation by Tonegawa Akiko

 日本のメディアに関わっていると、しばしばある違和感にとらわれる。日本のメディアは先にストーリーを作ってしまうことが多く、それに沿って報道する傾向があるのだ。だが、大会の行方がどうなるのかはメディアが決めることではない。これは選手はもちろん、サポーターに対しても失礼なのではないだろうか。

 スウェーデン戦の前に、ひとりの日本人サポーターと話をすることができた。彼女はこの1試合を見るためだけにニュージーランドに来て、そして翌朝にはとんぼ返りで日本に戻るという。彼女は言っていた。

「みんなが『今回のなでしこには希望はない』と言ったから、それを信じて休みも取らなかった。でもそれは違った。だから1試合だけでも見たくて強行スケジュールでやってきたんです」

 世界はなでしこジャパンのすばらしさを見た。それと同時に、日本の女子サッカーに対する冷たさを目の当たりにした。「報道」という観点からは、残念ながら悪い印象を残してしまった。日本を評価しないのは日本だけだった。

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