谷口彰悟「自分にはもう、あとがない」日本代表招集に抱いた危機感「森保監督に3月に代表に呼ばれなかった理由も聞けた」 (4ページ目)

  • text by Harada Daisuke
  • photo by AFLO

 ゴールが決まったことがわかった時は、正直、こう思った。

「うわー、入ったー」

 時間帯が試合開始早々だったこと、日本代表での初ゴールだったこと。初めて経験する状況だっただけに、どこか自分がゴールを決めたというよりも、他人事のようなリアクションと感情だったように思う。

 僕自身が日本代表に招集されるようになってから、セットプレーで得点を取る機会自体が決して多くはなかっただけに、自分自身がセットプレーからゴールを決めることは、存在価値を示す意味でも、こだわっていたポイントのひとつだった。

 日本代表といえば、かつては田中マルクス闘莉王さん、中澤佑二さん、そして(吉田)麻也さんらが、強さや高さを活かしてセットプレーからゴールを奪ってきた。自分はセンターバックとしては、闘莉王さんや中澤さんとはプレースタイルも異なり、身長的な高さもないけど、相手のマークを外してタイミングを合わせられる動きは、武器だと思っている。

 エルサルバドル戦での日本代表初ゴールに満足することなく、セットプレーでは常に勝負し、自分自身もさらに得点を重ねていきたい。

 エルサルバドル代表は侮ることのできない相手だったが、僕自身は相手以上に、自分がこの一戦でどれだけ存在価値を示すことができるか、また、日本代表にとって自分がどれだけ武器になれるかを、念頭に置いてピッチに立っていた。

◆第6回につづく>>


【profile】
谷口彰悟(たにぐち・しょうご)
1991年7月15日生まれ、熊本県熊本市出身。大津高→筑波大を経て2014年に川崎フロンターレに正式入団。高い守備能力でスタメンを奪取し、4度のリーグ優勝に貢献する。Jリーグベストイレブンにも4度選出。2015年6月のイラク戦で日本代表デビュー。カタールW杯スペイン戦では日本代表選手・最年長31歳139日でW杯初出場を果たす。2022年末、カタールのアル・ラーヤンに完全移籍。ポジション=DF。身長183cm、体重75kg。

プロフィール

  • 原田大輔

    原田大輔 (はらだ・だいすけ)

    スポーツライター。1977年生まれ、東京都出身。サッカー専門誌『ワールドサッカーグラフィック』の編集長を務めたのち独立。Jリーグを中心に取材し、各クラブのオフィシャルメディアにも寄稿している。主な著書に『愛されて、勝つ 川崎フロンターレ「365日まちクラブ」の作り方』(小学館クリエイティブ)など。

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