谷口彰悟「自分にはもう、あとがない」日本代表招集に抱いた危機感「森保監督に3月に代表に呼ばれなかった理由も聞けた」 (2ページ目)

  • text by Harada Daisuke
  • photo by AFLO

 一方で、自分自身が年齢を言い訳にして、日本代表に選ばれなかった事実を受け入れてしまうと、自分自身の成長も向上も、そこで止まってしまうと思っていた。

 カタールワールドカップを経験して、自分でも実感できるほど、日本代表への思いは増していた。それほどに、わずか4試合とは思えない価値が、あの舞台と、あの空間にはあった。短期間で自分自身が大きく成長し、得がたい経験ができたと感じていた。

 また、日本のエンブレムを背負って世界の舞台で戦うことの重みや誇りも含め、日本代表は「できるかぎり、長く居続けたい」と思わせてくれる場所だった。

 3月には、そうした現実が頭をよぎり、悔しさもあっただけに、6月の活動で再び日本代表に選ばれたことは、驚くとともに素直にうれしかった。そして、自分が重ねてきた年齢、自分が置かれている環境、日本代表が進もうとしている未来を踏まえれば、この2試合で、自分は見極められることになるという考えが頭のなかで駆け巡った。

「自分にとっては勝負の2試合になる」

 日本代表に定位置はない──とは、よく言われていることだけど、常に崖っぷちに立たされてきた自分は、再びそれくらいのプレッシャーをかけて、6月の活動に挑んだ。

 少しでも中途半端なプレーを見せれば、次の機会が与えられることはないだろう。まだまだ自分ができること、また、自分はこういう力をチームにもたらすことができるんだという存在感を示さなければと。

 谷口彰悟がいたほうが、チームはうまく回る、またはチームは締まる、さらにはプレーが安定している──そういったことを日本代表のチームメイトにも、周囲にも印象づけなければ、自分の価値はなくなると考えていた。だから、再び「自分にはもう、あとがない」というプレッシャーをかけながら日々を過ごした。

 そして、今回の日本代表での活動期間中には、森保監督と一対一で話をする時間があった。

 カタールワールドカップが終わってから、直接、話をする機会はなかっただけに、カタールワールドカップでの戦いを今、振り返ってどう感じているのか、どう考えているのかについて意見を交換した。

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