「さすがはA代表」の結果だったペルー戦は強化として理に適うものだったのか (2ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • スエイシナオヨシ●撮影 photo by Sueishi Naoyoshi

 森保一監督も、「可能な限り誰と組んでも機能するトライをしながら、最善最適な組み合わせを考えたい」「スタートから出る選手と途中から出る選手がつながって勝利できるようにしたい」とうれしい悲鳴を上げていたのも頷ける。

 とはいえ、充実の攻撃陣に負けず劣らず目を引いたのは、後ろからチームを支えたふたりのセンターバック、すなわち谷口彰悟と板倉滉である。

 それは、先頃行なわれたU-22日本代表のヨーロッパ遠征からの流れで、この試合を見ていたせいもあっただろう。A代表とU-22代表では、センターバックの能力に大きな差があることを実感させられるシーンは多かった。

 具体的に言えば「攻撃の起点となれるか否か」の違いである。

 U-22代表のセンターバックがよほどフリーにならない限り、自ら前にボールを運んだり、前線に縦パスを打ち込んだりすることができなかったのに対し、A代表組は相手にプレスをかけられても落ち着いてボールを扱い、相手の動きの逆をとって自ら持ち運ぶことができていた。

 遅攻であろうと、速攻であろうと、ペルー戦での日本に攻撃が滞る様子は見られなかった。

 昨年のカタール・ワールドカップから、キャプテンのDF吉田麻也が抜け、DF冨安健洋を欠いてもなお、センターバックがこれだけの安定したプレーを見せられるのだから、さすがはA代表である。

 だが、そんな谷口や板倉もワールドカップメンバーであり、"ポスト・カタール"で台頭してきた新戦力ではない。そんなふたりが、6月の2試合にそろってフル出場。3年後のことを考えると、喜んでばかりもいられない。

 実際、A代表メンバーを脅かす存在となることが期待されるU-22代表組は、まだまだ力不足というのが現状なのだ。

 それはセンターバックだけの話ではない。

 ペルー戦に先発出場したDF菅原由勢、MF旗手怜央、FW古橋亨梧にしても、ワールドカップメンバーからは漏れたとはいえ、そこに名を連ねていても不思議はなかった選手たち。いわば、カタール以前からの戦力である。今年になって台頭してきたような、本当の意味での新戦力ではなかった。

 A代表出場2戦目の中村敬斗がエルサルバドル戦でゴールを決めたが、厚みを増した選手層に、さほどの新鮮味があるわけではない。

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