日本代表をスペインの名戦術家が激賞 忖度なしでゴールシーンを分析した

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 松岡健三郎●撮影 photo by Matsuoka Kenzaburo

「日本の2点目は、すばらしいゴールだった」

 スペインの名伯楽ミケル・エチャリはそう言って、日本が4-1で南米の伏兵ペルーを下した一戦を振り返っている。

「板倉滉のビルドアップから始まって、右サイドバックの菅原由勢が伊東純也とのワンツーで攻め上がると、ライン間に入っていた鎌田大地にパス。鎌田は独特のテンポで左サイドの三笘薫にパスし、三笘は中央へダイアゴナル(斜め)に切り込んで右足を振ると、相手に当たってネットを揺らした。迅速で無駄のないコンビネーションで、随所に技術の高さが見えた」

 エチャリは、南米各国に戦術講師として何度も招待されている。国内で薫陶を受けたフアン・マヌエル・リージョ、ウナイ・エメリなどは世界のクラブで活躍。教え子のひとりハゴバ・アラサテ監督は今シーズン、オサスナをスペイン国王杯決勝に導いて『ヨハン・クライフ最優秀監督賞』を受賞している。

 そのエチャリがペルー戦を分析した。

ミケル・エチャリが攻撃のセンスを高く評価した菅原由勢ミケル・エチャリが攻撃のセンスを高く評価した菅原由勢この記事に関連する写真を見る「日本は4-2-3-1なのだろうが、鎌田のポジションの捉え方次第で、やや変則的な布陣だった。エルサルバドル戦から多く選手を入れ替え、GK中村航輔、左SB伊藤洋輝、MF遠藤航、右FW伊東、トップ下に鎌田、トップ古橋亨梧が先発に入っていた。テストの意図があるのだろう。

 日本はやや優勢にも見えたが、ディフェンスが背後を取られている。

 11分、ジャンルカ・ラパドゥーラにカウンター一発でラインを破られた点は反省点だろう。他にもラパドゥーラ、パオロ・ゲレーロの2トップの対処には後手に回るシーンがあった。谷口彰悟、板倉という日本のセンターバック2人は、守りに関しては安定感を欠いていた。GK中村の好セーブに助けられたところは大きいだろう。

 一方、日本はカウンターでペルーを脅かした。21分、鎌田がライン間で受け、相手を外してから三笘につなげたパスは極上だった。また、三笘も縦に抜けた後、スキルを見せて逆サイドの菅原につなげた。シュートはあえなくブロックされたが、完全に崩した形だった。

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