日本代表をスペインの名戦術家が激賞 忖度なしでゴールシーンを分析した (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 松岡健三郎●撮影 photo by Matsuoka Kenzaburo

【三笘の特徴はダイアゴナルにゴールに向かう動き】

 菅原という選手については、とても興味深く見ている。とりわけ、オフェンシブなセンスがあり、タスクの精度も高い。個人的に好みのサイドバックだ。

 そして23分、日本は遠藤が見計らって左にボールを叩く。攻め上がっていた左サイドバックの伊藤は完全にフリーだった。ミドルをニアサイドに決め、先制点になっている。ただし、高いレベルで見れば、DFのミス(まったく寄せられていない)、GKのミス(エリア外からニアサイドを破られている)というレベルのシュートだった」

 エチャリは淡々と高評価を与えながらも、忖度なく話している。

「63分には、日本は決定的な3点目を決めた。ペルーは無理に攻める形が続き、背後のケアが疎かになっていた。そこで前線で潰れた後に、ボールを収めた鎌田が間髪入れず左の三笘へパス。完全なカウンターで、三笘はダイアゴナルに走りながら、逆サイドから入ってきた伊東へパス。伊東はコントロールしてからフィニッシュした。

 三笘は縦に抜くスピードに優れるが、それ以上にダイアゴナルにゴールに向かって入るプレーに特徴がある。ドリブルがゴールに直結するというのか、ディフェンスにとっては脅威だ。スピードに乗せると、対処が難しいだろう。

 戦術的には、ダブルボランチもよかった。遠藤は今や重鎮で、カタールW杯の前は、動きすぎるなど、バランスを崩すことがあったが、攻守の中心になっていた。旗手怜央もアップダウンしながら、細かいプレーの質が高い。2人で守りを安定させ、トップ下の鎌田とも良好な関係性を作っていた。

 あえてチームに要求するなら、トップの古橋がゴールする形か。序盤、右からのクロスをヘディングで合わせた形が1回あったが、もう少し、その回数を増やしたい。エルサルバドル戦の上田綺世もそうだったが、古橋自体も動きの質は高いのだから」

 エチャリはそう言って、提言も加えている。ギリギリの勝負では、あらゆる手を尽くしておくことが必要だ。

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