三笘薫&伊東純也の速攻が炸裂も、ボール支配率は42%...日本代表の「主導権を握って勝利を目指す」は本物か

  • 中山 淳●取材・文 text by Nakayama Atsushi
  • 牛島寿人●撮影 photo by Ushijima Hisato

エルサルバドル戦に続いてペルー戦でも大勝を果たした日本だが、データを見るとボール支配率では常に日本がペルーを下回る展開。「主導権を握る戦い」を目指している第2次森保ジャパンだが、カタールW杯時の堅守速攻スタイルが続いている。

サッカー日本代表はペルーに4-1と大勝。堅守速攻が目立った戦いだったサッカー日本代表はペルーに4-1と大勝。堅守速攻が目立った戦いだったこの記事に関連する写真を見る

【守備時に4-4-2】

「収穫は、いいかたちで4得点を奪えたところ。ただ、まだまだチャンスの回数は増やせると思うし、チャンスを決めきるというところでは、これに満足することなく、(今後も)最善を目指していきたい」

 6-0で大勝したエルサルバドル戦から5日後、ペルーと対戦した日本が4-1で勝利を収め、試合後の森保一監督も満足げに勝利を振り返った。

 確かにペルーはFIFAランキングで21位と、20位の日本と比較しても実力的にはほぼ同格。しかし、相手は短期間で地球の裏側から韓国、日本へと長距離移動を強いられており、しかも選手個々の能力で上回る日本が万全の準備で待ち構えていたのだから、日本が勝ったこと自体は極めて順当と言える。

 ただし、開始3分以降に10人となった格下エルサルバドルとの試合に照らし合わせてみると、ペルー戦における日本の戦い方には明らかな違いがあった。どちらも決めるべき選手がゴールを決めた華々しい勝利ではあったが、試合結果とは別に、そこはこの試合でおさえておきたいポイントだ。

 では、2つの試合にはどのような違いがあったのか。

 まず、日本の基本布陣はエルサルバドル戦と同じ4-3-3(4-1-4-1)で、守備時はインサイドハーフ1人が1列上がって4-4-2を形成。今回も、基本布陣を4-2-3-1としていた試合と同じように、前線を2枚にする守備陣形を採用した。

 ちなみに、森保監督はこの試合で先発6人を変更。GK中村航輔、左サイドバック(SB)伊藤洋輝、ワンボランチにキャプテンの遠藤航、右インサイドハーフに鎌田大地、前線は右ウイングに伊東純也、1トップに古橋亨梧をスタメンで起用している。守備時に2トップの位置に移動したのは、4-2-3-1の1トップ下でプレーすることが多い鎌田だった(エルサルバドル戦では堂安律)。

 対するペルーも、基本布陣は4-4-2だった。ただし、ビルドアップ時はダブルボランチの1人(主に27番)がセンターバック(CB)の間に落ちて3バックに変化。その時は両SBが高い位置をとり、両サイドハーフ(8番、10番)が内側に絞って立つため、3-5-2のかたちになって日本陣内への前進を試みた。

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プロフィール

  • 中山 淳

    中山 淳 (なかやま・あつし)

    1970年生まれ、山梨県出身。月刊「ワールドサッカーグラフィック」誌編集部勤務、同誌編集長を経て独立。スポーツ関連の出版物やデジタルコンテンツの企画制作を行なうほか、サッカーおよびスポーツメディアに執筆。サッカー中継の解説、サッカー関連番組にも出演する。近著『Jリーグを使ってみませんか? 地域に笑顔を増やす驚きの活動例』(ベースボール・マガジン社)

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