三笘薫&伊東純也の速攻が炸裂も、ボール支配率は42%...日本代表の「主導権を握って勝利を目指す」は本物か (2ページ目)

  • 中山 淳●取材・文 text by Nakayama Atsushi
  • 牛島寿人●撮影 photo by Ushijima Hisato

【前からボールを取りに行かなかった日本】

 この対戦構図で思い出されるのは、4-2-3-1を基本布陣としていた第1次森保ジャパンの時代によく見られた、前線からの守備の課題だ。守備時に4-4-2に変化する日本は、3バックの相手に対する前からのプレスを苦手とし、その結果、自分たちで主導権を握れないケースがよくあった。

 そして、その傾向は今回のペルー戦でも変わらなかった。6-0で大勝したエルサルバドル戦では、立ち上がりから積極的に前に出たことが奏功し、結果的に11人対10人という有利な状況で主導権を握り続けたが、この試合では、序盤から日本が前から守備を仕掛けることはなかった。

「相手のボランチ1人がディフェンスラインに入ってビルドアップしてきて、アンカーを捕まえづらかったので、スタートのかたちで行くのか、変化したほうがやりやすいのかという話をした。ただ、(遠藤から)ピッチ内では対応できている、動かさないでほしい、というやり取りがあった」

 これは、2-0とした直後にピッチ脇で遠藤と話し合った内容について、森保監督が試合後の会見で明かした時のコメントだ。おそらく、ピッチサイドで戦況を見ていた森保監督も、前から守備を仕掛けられない状況が気になっていたのだろう。

 しかしながら、そんな心配もよそに、ピッチ上の選手たちは慌てることなく柔軟に対応。前から行くのではなく、ミドルゾーンで4-4-2のコンパクトな陣形を保って敵の前進ルートを遮断し、相手が網にかかった瞬間に縦に速く攻めて、効率よく勝利することに成功した。

 実際、この試合のボール支配率は、完勝した日本が41.8%しかなかったのに対し、ペルーは58.2%(前半は日本42.9%対ペルー57.1%、後半は日本40.8%対ペルー59.2%)。15分ごとのボール支配率を見ても日本が相手を上回った時間帯はなく、とりわけペルーが逆襲のアクセルを強く踏んだ後半の60分以降は、64.9%(60~75分)、61.0%(75分~試合終了)と、圧倒的にペルーがボールを保持する試合展開だった。

 ところがシュート数では、日本の10本に対し、ペルーはわずか4本。特筆すべきは、日本が前半に記録したシュート4本のうち、2本をネットに突き刺したことだった。試合後、ペルーのフアン・レイノソ監督はがっかりした様子で「日本のトランジションに高い代償を払った」と語ったように、この試合の明暗は、日本のポジティブ・トランジション(守備から攻撃への切り替え)が最大のカギだったと言っていい。

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