日本代表をスペインの名戦術家が激賞 忖度なしでゴールシーンを分析した (3ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 松岡健三郎●撮影 photo by Matsuoka Kenzaburo

「ペルーは大敗したが、攻撃に関しては形を持っていた。1点を返したところも、単純な縦のボールだったとは言え、FWが抜け目なく競って、谷口の中途半端なクリアを誘い、ゴールを突き刺している。

 ただ、守備が脆すぎた。準備不足で、特にトランジション(切り替え)では常に一歩遅れていた。日本のシューターやクロッサーは、フリーに近い状態でキック&コントロールできる場面が多かった。堅牢な守備組織を作り上げるのは、ややクラシックな彼らのスタイルではないのだろうか。

 言い換えれば、日本はペルーの弱点につけ込んだと言える。得点場面だけでなく、随所にトランジションで差を見せつけていた。前線からの激しいプレスもモダンで、バックパスを誘発。4点目の前田大然のゴールは典型的と言える。

 最後に、連勝を飾った日本を心から祝福したい。菅原、旗手など新鋭選手の台頭も見られるし、多くの選手がフィットしてきた。今後が楽しみだ」

ミケル・エチャリ
1946年生まれ。サンセバスチャン出身のスペイン・バスク人指導者。選手としては膝のケガにより27歳で引退し、その後は指導者に転身した。レアル・ソシエダでは20年以上にわたり強化ディレクター、育成ディレクター、セカンドチーム監督などを歴任。エチェベリア、デ・ペドロ、シャビ・アロンソなど有数の選手に影響を与えた。エイバルでは監督を務め、バスク代表監督(FIFA非公認だが、バスク最高の指導者に与えられる栄誉職)も10年以上務めている。また、指導者養成学校の教授も務め、教え子にフアン・マヌエル・リージョやハゴバ・アラサテなどがいる。

プロフィール

  • 小宮良之

    小宮良之 (こみやよしゆき)

    スポーツライター。1972年生まれ、横浜出身。大学卒業後にバルセロナに渡り、スポーツライターに。語学力を駆使して五輪、W杯を現地取材後、06年に帰国。著書は20冊以上で『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など。『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューし、2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を刊行。

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