松木玖生の起用法がカギをにぎるU-20日本代表のワールドカップ 「守れて」「点も取れて」「ゲームを締められる」 (3ページ目)

  • 松尾祐希●取材・文 text by Matsuo Yuki
  • photo by JFA/PR

【1試合でいくつものタスクをこなす松木玖生の能力】

 松木の能力を考えた場合、最も理想的な起用法がアジアカップのサウジアラビア戦だ。この試合はグループステージの最終戦で、順位を決める上で重要な一戦だった。しかも、相手は1勝1敗の3位。あとがない状況で、積極的に攻撃を仕掛けてくる可能性が高かった。

 そこで松木が2トップの一角に配置され、ファーストディフェンダーとして高い位置から相手にプレスをかける役割を担った。松木は見事に期待に応え、強度の高い守備でショートカウンターの起点として機能。攻撃面でも高い決定力を発揮し、前半の早い段階で先制点を決めた。

 同点に追いつかれた後半の終盤にもセットプレーから決勝点を叩き込み、圧倒的な存在感を示したのは記憶に新しい。だが、この試合はこれだけで終わらない。リードを奪うと、残り10分はボランチに下がって、クローザーの役割を担ったのだ。

「試合に出ている以上、これがベース。もっと自分がやらないといけないと感じている」と涼しい顔で言いきった松木だが、最も疲れている時間帯にあれだけの強度でプレーしたのは流石の一言。1試合でファーストディフェンダー、ストライカー、クローザーの役割をハイレベルに務め、その存在を知らしめた。

 状況に応じて、1試合でいくつものタスクを担う――。今大会でも松木の能力を最大限に生かすのであれば、この起用法がベストだろう。

 セネガルとの初戦は21日の18時キックオフ(日本時間22日の6時)。悲願の初優勝を目指す冨樫ジャパンの戦いから目が離せない。

プロフィール

  • 松尾祐希

    松尾祐希 (まつお・ゆうき)

    1987年、福岡県生まれ。大学卒業後、サッカー専門誌『エルゴラッソ』のジェフユナイテッド千葉担当や『サッカーダイジェスト』の編集部に籍を置き、2019年6月からフリーランスに。現在は育成年代や世代別代表を中心に取材を続けている。

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