松木玖生の起用法がカギをにぎるU-20日本代表のワールドカップ 「守れて」「点も取れて」「ゲームを締められる」 (2ページ目)

  • 松尾祐希●取材・文 text by Matsuo Yuki
  • photo by JFA/PR

【日本は現状のベストメンバー】

 そうした強豪国と対峙する日本は、現状でベストメンバーと呼べる選手たちを揃えた。Jリーグのルーキーイヤーだった昨年からレギュラーとして活躍するMF松木玖生(FC東京)や、予選で得点王に輝いたFW熊田直紀(FC東京)といった有望株はもちろん、FW福田師王(ボルシアMG)、MF福井太智(バイエルン)、DF髙橋仁胡(バルセロナ)、DFチェイス・アンリ(シュツットガルト)と、欧州でプレーする4名がメンバーに入った。

 海外組4名の招集は過去最多。いずれもアンダーカテゴリーやセカンドチームでプレーしているとはいえ、ポテンシャルは一級品だ。しかも、この年代の選手はコロナ禍の影響で海外勢との対戦経験が乏しいだけに、彼らの存在は心強い。

 12日から現地でトレーニングを積み、15日にはアルゼンチンと練習試合を実施。1-2で敗れたものの、手応えはあった。「(1年前のモーリスレベロトーナメントで対戦した)アルゼンチン戦と比べ、差が埋まっている」とMF佐野航大(ファジアーノ岡山)も成長を感じたと話す。

 ケガ人もなく、順調に調整を進めるなか、今大会を戦う上でポイントになりそうなのが松木の起用法だ。チームの中心人物でキャプテンを務める大黒柱は、攻守で替えがきかない存在。幅広い役割を担える松木に対してチームメイトも一目置いており、頼りにしているという。

「守備面で変わってくる。松木は守備のスイッチを入れる役割を担うことが多いので、前で起用された時のやりやすさはある。でも、逆にボランチに入れば試合を落ち着かせてくれるし、試合の支配もできる」(佐野)

 アジアカップでは複数のポジションで起用され、いずれもハイレベルにこなして勝利に貢献した。4-2-3-1ではトップ下と中盤の底、4-4-2ではダブルボランチの一角と最前線、3-4-2-1ではシャドーと3列目で起用されている。

 予選の起用法を紐解くと、相手の出方次第と戦い方によって松木のポジションが変わるのは間違いない。チームの戦術として高い位置からプレッシングをかける場合は、4-2-3-1のトップ下か4-4-2の2トップの一角で起用するのが最適解。じっくりボールを動かす展開や中盤で守備の強度を保ちたい場合は、ボランチで起用する策がハマるだろう。

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