「日本代表の不調を鎌田大地が象徴していた」 スペインの名指導者がコロンビア戦を厳しく分析
「カタールW杯後、日本代表は新たな戦いを組み直しているのだろう。鎌田大地の起用法ひとつとっても、まだ答えを見つけられていない」
スペインの目利き、ミケル・エチャリはそう言って、日本がコロンビアに1-2と完敗した試合を振り返っている。レアル・ソシエダで20年近くさまざまな役職を歴任。今も同チームに強い影響力を残すエチャリは、言葉を選びながらも厳しい分析をした。
「ウルグアイ戦で、私は鎌田が前線で孤立していたことを指摘した。彼は中盤と前線をつなぐ仕事をすることで特性を生かせる。しかし、ボランチで守勢に回ってしまうと、途端に悪い面のほうが出ていた。同点弾を叩き込まれた場面も、本来、ボランチが素早く帰陣し、クロスのコースを切っておくべきだった。守田英正との連係もないに等しく、バックラインからのパス出しもスロー過ぎた。
その不調は、日本の不調を象徴していたと言えるだろう」
エチャリは、コロンビア戦で何を見極めたのか?
コロンビア戦にボランチで先発、前半で退いた日本代表の鎌田大地この記事に関連する写真を見る「カタールW杯後の初戦であるウルグアイ戦に続いてのコロンビア戦になった。
森保一監督は、選手、ポジションを半分近く入れ替えている。伊藤洋輝が左センターバック、バングーナガンデ佳史扶が左サイドバック、鎌田がボランチ、西村拓真がトップの一角、伊東純也が右サイドへ。4-2-3-1というよりは、4-4-2に近い構造か。
日本にとってはこれ以上ないスタートだった。開始3分、いきなり先制に成功。右サイドからロングパスを差し込んで、2トップがボールを収めると、パスを受けた守田がダイレクトでクロスをファーポストに入れ、三笘薫が走り込んで豪快なヘディングシュートを決めている。
すばらしいゴールだったが、日本の優勢はここまでだった。
コロンビアはグループ戦術が仕組みとして洗練されていた。4-1-4-1で、各ラインがそれぞれをサポートする形で動き、ポジション的優位を作った。アンカーは巧妙なポジション取りで、日本の西村、町野修斗という2トップに対し、常に数的優位を形成。一方、サイドバックは高い位置でプレーし、攻撃で糸口になった。
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プロフィール
小宮良之 (こみやよしゆき)
スポーツライター。1972年生まれ、横浜出身。大学卒業後にバルセロナに渡り、スポーツライターに。語学力を駆使して五輪、W杯を現地取材後、06年に帰国。著書は20冊以上で『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など。『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューし、2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を刊行。