三笘薫の足跡を辿れるか U-22日本代表の欧州遠征で大学生の佐藤恵允が猛烈アピール (3ページ目)

  • 松尾祐希●取材・文 text by Matsuo Yuki
  • 川森睦朗●撮影 photo by Mutsu Kawamori/MUTSUFOTOGRAFIA

【三笘薫と同じような未来を描けるか】

「ドイツ戦よりも1対1を仕掛けたり、攻撃の面で違いは出せたと思う。だけど、結果的にその流れからゴールとかアシストにつなげられていないので満足していない」

 この日の試合後も、佐藤は浮かれた様子を見せず、謙虚な姿勢を崩さなかった。周りの選手たちはJ1のクラブやヨーロッパでプレーしているが、自身の立場は大学生。欧州遠征で結果を残したとしても、こうしたハイレベルな遠征を味わえるのは代表活動に限られる。プロの世界で戦っている選手たちは常に上のステージで揉まれており、日常を変える作業は並大抵のことではない。だからこそ、浮かれるわけにはいかず、自身のスタンスを貫いているのだ。

 思い返せば、三笘薫(ブライトン/イングランド)もそうだった。筑波大学から川崎フロンターレと進んでプレーしていた頃は、東京五輪を戦うチームのなかでも絶対的な存在ではなかった。それでも東京五輪に出場、欧州移籍でも経験値を高めて一気に上り詰め、昨秋のワールドカップでセンセーショナルな活躍を見せた。

 佐藤は同じような未来を描けるか。高校時代は目立った活躍は見せられなかったかもしれないが、大学で一気に才能が花開き、世界へ羽ばたこうとしている。新たなステージに行くべく、佐藤の挑戦はこれからも続いていく。

プロフィール

  • 松尾祐希

    松尾祐希 (まつお・ゆうき)

    1987年、福岡県生まれ。大学卒業後、サッカー専門誌『エルゴラッソ』のジェフユナイテッド千葉担当や『サッカーダイジェスト』の編集部に籍を置き、2019年6月からフリーランスに。現在は育成年代や世代別代表を中心に取材を続けている。

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