谷口彰悟が日本を飛び出した理由「JリーグをやっていればW杯に出場できる感覚になってほしくない。何が言いたいかというと...」 (2ページ目)

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 何が言いたいかというと、今のJリーグは、本当に目指すべきところが見えづらい環境にあるということ。Jリーグでプレーしているだけでは、感じられないことがたくさんあると思うんです」

── 具体的に言うと?

「もちろん、Jリーグでやりながらも、常に自分の基準を世界に置いて、高い意識でプレーし続けることができれば、日本代表に選ばれて、ワールドカップでも活躍することは可能だと思います。でもその世界基準を、Jリーグの選手は知る機会が本当に少ない。

 それは、僕自身も感じていたことです。よく、ヨーロッパから帰ってきた選手が『Jリーグは別物』というようなコメントをされますけど、たしかにJリーグは独特のスタイルや文化が出来上がってきていると感じます。

 そのなかで活躍することを基準としている選手と、世界で勝つことに基準を置いている選手とでは、やり方が変わってくるんですよ。でも、しょうがないですよね。その基準を知る機会がないんですから」

── 谷口選手はどこで、その基準を身につけたのですか。

「僕は2021年6月に久々に代表に呼ばれて、いろんな国の選手と対戦するなかで、身体の使い方だったり、強度だったり、スピードだったり、日本では味わえないような部分を体感できました。

 その感覚を日常から自分なりに消化して、考えながらプレーしてきました。そういう意識を持ちながら過ごしてきたので、僕はJリーグにいたままワールドカップを目指せたと思うし、実現できたと思っています。

 ただ、今のJリーグから代表に入っている選手は少ないので、その感覚を体感できる選手が限られます。だから、やっぱりクラブでも世界を経験できるようになるのが、今後のJリーグにとってすごく大事なことだと思っています」

── 現状だと、なかなか難しいですよね。

「日本は島国なので、ほかの国のチームと試合をするのは簡単ではないですよね。今はACLくらいしか、できませんから。

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