サッカー日本代表とカタールW杯ベスト8チームとの差は歴然。欧州トップ10クラブでプレーしている各国選手の人数を調べてみた (3ページ目)

  • 中山 淳●文 text by Nakayama Atsushi
  • 藤田真郷●撮影 photo by Fujita Masato

【W杯上位チームの選手は欧州トップ10クラブでプレーしている】

 まず最新のUEFAクラブランキングのトップ10は以下のようになっている。

1位=マンチェスター・シティ(イングランド) 
2位=バイエルン(ドイツ) 
3位=チェルシー(イングランド) 
4位=リバプール(イングランド) 
5位=パリ・サンジェルマン(フランス) 
6位=レアル・マドリード(スペイン) 
7位=バルセロナ(スペイン) 
8位=マンチェスター・ユナイテッド(イングランド) 
9位=ユベントス(イタリア) 
10位=アヤックス(オランダ) 

 今大会でベスト8に進出した8チームの選手の所属クラブをこれにあてはめると、トップ10のクラブでプレーしている選手が最も多いのが、前評判から優勝候補筆頭とされているブラジルで、その数は16選手。26人のうち約6割もの選手がヨーロッパの強豪クラブに所属していることになる。まさに、タレント王国の面目躍如といったところだ。

 続いて、トップ10に4クラブを送り込む自国リーグを持つイングランドと、7人のアヤックス所属選手がメンバーに登録されたオランダが、それぞれ13人で2位タイ。4位は12選手のフランス、5位には9選手のポルトガルが上位に食い込んだ(登録上、クリスティアーノ・ロナウドは所属なし)。

 ちなみに、意外と少なかったのが6位アルゼンチンで計5人。3人のクロアチアとモロッコが7位タイだった。

 一方、予想を裏切る格好で敗退したドイツ、スペイン、ベルギーの強豪3チームでトップ10のクラブに所属する選手を見てみると、ドイツが11人、スペインが15人に対し、ベルギーは3人のみ。ベルギーに関しては、大会後にキャプテンを務めたエデン・アザールが代表引退を宣言したように、現在世代交代が進行中。3位だった前回大会が、おそらく黄金世代のピークだったのかもしれない。

 いずれにせよ、登録メンバーのうちどれだけ多くの選手が強豪クラブでプレーしているかが、その代表チームの実力を示す基準のひとつであることは間違いなさそうだ。

 最後に、最も気になる日本代表の内訳はどうかというと、残念ながらトップ10のクラブに所属する選手は不在。鎌田大地が、唯一トップ20にランキングされるフランクフルト(ドイツ)でプレーしているが、冨安健洋のアーセナル(イングランド)が23位ということもあり、その他のヨーロッパ組の所属クラブは21位以下になる。

 日本代表が世界のトップレベルに近づくためにも、今後も各選手がステップアップし続けていくことを期待したい。

【筆者プロフィール】
中山淳(なかやま・あつし)
1970年生まれ、山梨県出身。月刊「ワールドサッカーグラフィック」誌編集部勤務、同誌編集長を経て独立。スポーツ関連の出版物やデジタルコンテンツの企画制作を行なうほか、サッカーおよびスポーツメディアに執筆。サッカー中継の解説、サッカー関連番組にも出演する。

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【profile】
中村憲剛(なかむら・けんご)
1980年10月31日生まれ、東京都小平市出身。久留米高校から中央大学に進学し、2003年にテスト生として参加していた川崎フロンターレに加入。2020年に現役を引退するまで移籍することなく18年間チームひと筋でプレーし、川崎に3度のJ1優勝(2017年、2018年、2020年)をもたらすなど黄金時代を築く。2016年にはJリーグMVPを受賞。日本代表・通算68試合6得点。ポジション=MF。身長175cm、体重65kg。

佐藤寿人(さとう・ひさと)
1982年3月12日生まれ、埼玉県春日部市出身。兄・勇人とそろってジェフユナイテッド市原(現・千葉)ジュニアユースに入団し、ユースを経て2000年にトップ昇格。その後、セレッソ大阪→ベガルタ仙台でプレーし、2005年から12年間サンフレッチェ広島に在籍。2012年にはJリーグMVPに輝く。2017年に名古屋グランパス、2019年に古巣のジェフ千葉に移籍し、2020年に現役を引退。Jリーグ通算220得点は歴代1位。日本代表・通算31試合4得点。ポジション=FW。身長170cm、体重71kg。

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