ベルギーでのクロアチア戦実況であふれる日本愛。自国リーグ経験者をほめ讃えていた
カタールワールドカップでは日本代表がゴールを決めるたび、控え選手が全員ベンチから飛び出し、ピッチにいる仲間と喜びを分かち合った。
ピッチサイドから湧き上がってくる日本人選手の群れに、ベルギーのテレビ解説者は「日本の選手は26人以上いるぞ!」と言ってスタジオの笑いを誘っていた。
「これぞ指導者が見たい姿。勝ってからベンチも一緒になって喜ぶのはノーマル。しかし、日本の選手は同点ゴールでもベンチから選手たちが駆け寄っていく」(アイスランド人解説者のアルナル・ビダルソン)
PK決着後に吉田麻也に声をかけるFWペリシッチこの記事に関連する写真を見る 川島永嗣(現ストラスブール/フランス)の姿を探すと、やはり、輪の中にいた。笑いと興奮が入り混じった彼の顔を見ると、2010年夏、川崎フロンターレからベルギーのリールセに移籍した時の裏話を思い出す。
知り合いのオランダ人指導者によると、川島はオランダのチームへの移籍がまとまりかけていたが、直前に交渉は破談となった。そこで彼は、旧知の仲であるリールセの指導者に川島のことを推薦したのだという。指導者同士のネットワークが抜群の効果を発揮した移籍だった。
川島は移籍1年目から正GKとしてリールセの1部残留に貢献。『リールセ・サポーター選出の年間最優秀選手』にも選ばれる活躍を見せて、2012年夏にスタンダール・リエージュへとステップアップしていった。
2017年1月、スイスのヤング・ボーイズからゲントに移籍した久保裕也(現FCシンシナティ/アメリカ)は加入直後7試合で5ゴールの大活躍。『スシボンバー』の愛称で親しまれ、ついに日本人のフィールドプレーヤーとしてベルギーリーグの壁を破った。
「うちのシステムにしっかりハマる」。久保は入念なスカウティングの末に獲得した選手だったという。当時ゲンクを率いていたハイン・ファンハーゼブルック監督は私にこう言ったものだ。
「裕也がシーズンの最初からいたら、ゲントは優勝することができた(結果はプレーオフ3位)」
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