ベルギーでのクロアチア戦実況であふれる日本愛。自国リーグ経験者をほめ讃えていた (3ページ目)

  • 中田徹●取材・文 text by Nakata Toru
  • photo by AFLO

【ロストフのひと言で説明十分】

 ベルギーのスポーツチャンネル『スポルツァ』で日本vsクロアチアを実況した国内有数のサッカー識者フィリップ・ヨースは「ベルギーリーグを経由した選手がたくさんいる日本代表を見るのは楽しいですね。今ごろSTVVの首脳陣も胸を張って試合を見ていることでしょう」とコメントした。

 日本対クロアチア戦の実況中、少なくとも2回、ヨースは2018年ロシアW杯ラウンド16の日本vsベルギー戦を引き合いに出した。

「今、プレーしている選手のなかで、(ロシアの)ロストフで先発したのは吉田麻也と長友佑都のふたりです」

「森保一監督はロストフで(日本代表の)コーチを務めていました」

 2018年ロシアW杯でベルギー代表が2点のビハインドを盛り返し、3-2で日本代表から大逆転勝ちを収めた土地『ロストフ』のひと言で、ベルギー人に説明は十分。あの歴史的名勝負のことを思い出すことができる。

 ベルギー国内有数のサッカー識者として知られるヨースの実況は、微に入り細をうがつ。55分、クロアチアのFWイヴァン・ペリシッチがヘディングシュートを決めて1-1と同点にしたシーンではこうだった。

「デニス・ファン・ワイク監督の下、ルーセラーレでプレーしたペリシッチがすばらしいヘディングシュート! 伊東はデュエルに行けなかった。だけど、そこは伊東の持ち味ではない。このラインナップの弱点が出てしまいました。冨安には受け持っているマークがいました。そのスペースにペリシッチはうまく入ったのです」

 実況はもちろん、ピッチに立つ全選手のことに言及している。しかしやはり熱を帯びるのは、ベルギーリーグOBの日本人のことだ。

「伊東がクリア! この試合で伊東は、今大会のメッシの走行距離より長く走っています。これはあくまで表現のひとつですよ。(メッシへの)批判でもありません」

「(ペリシッチがファウルをして謝っている姿に)ここには日本代表を応援する3万人の観客がいます。そのことを意識していますね。日本人は許してくれますよ」

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