ベルギーでのクロアチア戦実況であふれる日本愛。自国リーグ経験者をほめ讃えていた (2ページ目)

  • 中田徹●取材・文 text by Nakata Toru
  • photo by AFLO

【川島→久保→森岡を経て】

 2017年夏にワースラント・ベフェレンに入団して『絶滅危惧種の10番』としてベルギー人を魅了した森岡亮太は、アンデルレヒトを経て今もシャルルロワの一員としてベルギーでプレーしている。以前、「森岡さんの活躍によってベルギーでプレーする日本人選手が増えましたね」と声をかけると、彼らしく「いいや、裕也がすごいんですよ」と答えた。

"ベルギーリーグの顔"のひとりとなった森岡は、ポーランドリーグのシロンスク・ヴロツワフでプレーしているところをワースラント・ベフェレンに発掘された選手だった。しかし、DMM.comがシント・トロイデン(STVV)の経営権を取得し、2019年2月にゲンクが柏レイソルに所属していた伊東純也(現スタッド・ランス/フランス)を獲得したころから、ベルギーの各クラブがJリーグを些細にチェックしたうえで獲得するケースが増えた。

 現在、ベルギーでプレーする日本人は13人。J2のアルビレックス新潟でプレーしていた本間至恩がクラブ・ブルージュのリザーブチーム「クラブNXT」に移籍したように、Jリーグでプレーする有望株はこぞってベルギークラブのターゲットとして調査されていると見ていい。

 この12年間で、Jリーグからベルギーリーグへの窓口は完全に開放された。そのパイオニアと言えるのが、今回で通算4度目のワールドカップ日本代表メンバーに選ばれた川島永嗣だ。

 カタールワールドカップ準々決勝「日本vsクロアチア」のピッチには、冨安健洋(2018〜2019 STVV)、伊東純也(2018〜2022ゲンク)、遠藤航(2018〜2020 STVV)、鎌田大地(2018〜2019 STVV)、そして64分から登場した三笘薫(2021〜2022ユニオン・サンジロワーズ)と、5人のベルギーリーグ経験者が立った。

 さらにベンチには、川島(2010〜2012リールセ、2012〜2015スタンダール・リエージュ)、シュミット・ダニエル(2019〜STVV)、上田綺世(2022〜サークル・ブルージュ)がいる。合わせて8人もの日本代表がベルギーと縁がある。

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