日本代表、価値あるベスト16敗退も、「もったいない試合」という印象が強くなってしまうワケ (3ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • スエイシナオヨシ●撮影 photo by Sueishi Naoyoshi

 例えば、三笘が低いポジションで守備に追われ、相手の脅威となり得ていなかったのならば、最初のドイツ戦とは逆に、試合途中で3バックから4バックに変更し、三笘を高い位置に置く策はなかったのか。

 あるいは、交代枠を余してしまうくらいなら、FW町野修斗やFW上田綺世の投入はなかったのか。

 仮に彼らを入れても得点は期待できないというのなら、そもそも登録メンバー26人を選考する段階で問題があったのではないか。

 いずれにせよ、そんな疑問の数々が、この試合の印象を「もったいない敗戦」にしてしまっている。

 4年前のベルギー戦は、2-0とリードしてもなお、どこかでやられるのではないかとハラハラしながら見ていなければならなかった。

 だが、今回は違う。

 選手がボールを動かす様子には余裕があった。1失点こそしたが、クロスボールにも簡単に競り負けていなかった。ルカ・モドリッチからも果敢にボールを奪うことができていた。

 もったいない試合だった。

【著者プロフィール】浅田真樹(あさだ・まさき)
フリーライター。1967生まれ、新潟県出身。サッカーのW杯取材は1994年アメリカ大会以来、2022年カタール大会で8回目。夏季五輪取材は1996年アトランタ大会以来、2020年東京大会で7回目。その他、育成年代の大会でも、U-20W杯は9大会、U-17W杯は8大会を取材している。現在、webスポルティーバをはじめとするウェブサイトの他、スポーツ総合誌、サッカー専門誌などに寄稿している。

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【profile】
中村憲剛(なかむら・けんご)
1980年10月31日生まれ、東京都小平市出身。久留米高校から中央大学に進学し、2003年にテスト生として参加していた川崎フロンターレに加入。2020年に現役を引退するまで移籍することなく18年間チームひと筋でプレーし、川崎に3度のJ1優勝(2017年、2018年、2020年)をもたらすなど黄金時代を築く。2016年にはJリーグMVPを受賞。日本代表・通算68試合6得点。ポジション=MF。身長175cm、体重65kg。

佐藤寿人(さとう・ひさと)
1982年3月12日生まれ、埼玉県春日部市出身。兄・勇人とそろってジェフユナイテッド市原(現・千葉)ジュニアユースに入団し、ユースを経て2000年にトップ昇格。その後、セレッソ大阪→ベガルタ仙台でプレーし、2005年から12年間サンフレッチェ広島に在籍。2012年にはJリーグMVPに輝く。2017年に名古屋グランパス、2019年に古巣のジェフ千葉に移籍し、2020年に現役を引退。Jリーグ通算220得点は歴代1位。日本代表・通算31試合4得点。ポジション=FW。身長170cm、体重71kg。

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