日本代表はもはやこの男に頼るしかない。元サガン鳥栖監督が語る「鎌田大地はもっと高いレベルでできる」 (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 藤田真郷●撮影 photo by Fujita Masato

元サガン鳥栖監督が語る鎌田の特長

「大地はうまく脱力することで、相手を見えているし、周りも見えています。さぼっている、休んでいるわけではなくて」

 サガン鳥栖で当時18歳だった鎌田をJデビューさせた森下仁志監督(現在はガンバ大阪ユース監督)はそう語って、興味深い指摘をしている。

「たとえば、(バルサ戦で)ペドリとの局面でのマッチアップでは、スイッチが入っていました。とにかくボールを取られないし、ほとんどロストしていない。走り出しのタイミングもよくて、味方が出してくれたら、もっとチャンスになっていたかもしれません。より高いレベルでやれるはずで、ワールドカップの日本代表でも、要求することによって、絶対に応えてくれる選手です」(森下監督)

 鎌田はトップ下で自由を与えられたとしても、常に戦況を鑑み、守備も厭わないだろう。守備的なポジションで攻撃を期待するのではなく、攻撃的なポジションで守備を任せるべきである。そのほうが、攻撃で爆発的な活躍を生み出せるはずだ。

 彼を中心にしたチームにすることで、わずかだが活路は開ける。ドイツ戦で先発が予想される伊東純也、前田大然、久保などを生かす可能性は上がる。そしてチーム全体、隅々まで効能を行き渡らせることができたら――。

「今まで出会った選手で、トップレベルにいく選手は感情のアベレージが高いです。(鎌田)大地もそう」

 森下監督は、鎌田の"強心臓"についてそう説明している。

「起伏が少ないというか、乱れを見せず、感情を出してもコントロールしながら、自らを奮い立たせることができます。大地は『自分のサッカーを見せつけてやる』という負けん気が本当に強いですね。それが欧州に行っても、要求に応えるスピードに表れているし、それを続けられる力にもつながっているんでしょう」

 鎌田は大舞台で何者かになり変われる。事実、昨シーズンから今シーズンにかけ、ヨーロッパリーグ、チャンピオンズリーグで殻を破りつつある。そのポテンシャルは底知れない。

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