日本代表は「必然的にボールを失い、チャンスを作れていない」。スペインの名指導者が森保ジャパンに警鐘

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 藤田真郷●撮影 photo by Fujita Masato

「チームとしてのつながりのようなものが、ほとんど感じられなかった。コンビネーションを使ったサッカーができていない。あくまでテストであり、多くの選手は開幕のドイツ戦の先発ではないのかもしれない。しかし、メンバー構成からして噛み合っていなかった」

 レアル・ソシエダなどで長年にわたり要職を務めてきたスペインの目利き、ミケル・エチャリはそう言って、日本がカナダに1-2で敗れた試合を振り返っている。

 エチャリはこれまで森保ジャパンに対して、建設的な意見をしてきた。しかし最近は、自陣での軽率なファウルが多いことなど、チームとして破綻しかねない状況を憂慮している。南アフリカW杯でのアンカー採用というアイデア、ブラジルW杯での攻撃偏重への警鐘、そしてロシアW杯での躍進など、日本代表について予想を次々に的中させてきた名伯楽は、カタールW杯の前哨戦をどう分析したのか。

「個人的には、原口元気と大迫勇也のメンバー外は驚きだった。とくに原口は戦術的なプレーヤーとして、このチームに必要な気がしたが......」

 エチャリはそう残念がり、試合について語り始めた。

「試合は序盤、日本がペースを握っている。戦力的な優位性と試合にかける意気込みが出たか。敵陣でプレーする時間が長かった。

 そして9分、相手のロングボールを回収後、柴崎岳が裏へ抜け出た相馬勇紀にタイミングよくパスを送ると、相馬はコースを変え、先制に成功した。悪くない立ち上がりだった。

 しかし、これで受けに回ってしまう。久保建英が自ら持ち込んで狙う場面などはあったものの、攻撃はどれも単発。先制以降は、徐々にカナダにペースを奪われていった。

カナダのセットプレーのシーンで、日本はたびたびピンチを招いていたカナダのセットプレーのシーンで、日本はたびたびピンチを招いていたこの記事に関連する写真を見る カナダは、チームとして戦術的なデザインが見えた。4-4-2でサイドバックが常に違う高さを取ることで、幅を作りながら日本を幻惑し、崩そうとしていた。組織的なライン作りができているだけに、挽回するのは必然だった。圧力を与え、セットプレーも増えていた。

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