日本代表は「必然的にボールを失い、チャンスを作れていない」。スペインの名指導者が森保ジャパンに警鐘 (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 藤田真郷●撮影 photo by Fujita Masato

課題と収穫を手にしたのはカナダだった

 そして21分、コーナーキックからエリア内でアティバ・ハッチソンが合わせ、さらにスティーブン・ヴィトーリアが詰めて同点に追いついた。

 セットプレーの際の日本の守備は改善の余地がある。失点シーンも、キックの瞬間までマークについていたが、ボールが来る時には外してしまっており、立て続けに合わせられている。伊藤洋輝は完全に背中を取られていた。

 本大会でも、コーナーキックの守りは気になるところだ。実際、その後もGK権田修一が非常に悪い飛び出しを見せ、混乱が生じていた。コーナーキックのたびに失点の匂いがしたし、押し込まれる状況を作っていること自体が問題だった。

 日本はダブルボランチの柴崎と田中碧がそれぞれを生かし合っておらず、ちょくちょくサイドを変えている。ボールを失う場面もあって、彼ら自身も手探りなのだろう。そのせいで、チーム全体にリズムが生まれず、カナダを押し返せない。久保が下がって無理に守備をし、ファウルでフリーキックを与えて......という悪循環だった。ロングボールを狙って酒井宏樹がダイナミックに突っ込み、敵陣に迫ったシーンなどは悪くなかったが」

 エチャリはポジティブな側面を探そうとしていた。しかし、不安要素が多いゲームだったことは間違いない。

「後半になって、日本はほとんどチャンスを作り出せていない。前線に入った上田綺世がポストに入って、南野拓実のチャンスシーンなどを演出したが、シュートは力なく阻まれる。他は長いボールを蹴るだけになった。

 カナダは攻守がオーガナイズされ、お互いの動きでスペースを生み出していた。自然と調和が生まれ、尻上がりに内容がよくなっていった。彼らはテストマッチでしっかり課題と収穫を手にすることができただろう。

 対照的に日本は、必然的にボールを失い、ファウルせざるを得ず、もはや攻撃を組み立てられなくなる。交代で入った鎌田大地がひとりで強引にボールを奪い、そのまま持ち上がり、展開し、再びシュートへ、という場面では、個人の能力の高さが出た。しかし、それはチームとしてうまくいっていない兆候でもあった。

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