加地亮がサッカー人生で一番悔いが残るW杯。「前線と後ろの人でバラつきがあった」 (4ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • photo by Hitoshi Mochizuki/AFLO

 この間の(1-0で勝利したアウェーの)オマーン戦なんかも、紙一重の戦いでしたよね。誰を使ったほうがいいとか、監督がどうだとか、たぶんいろんな人がいろんなことを言うと思いますけど、難しいですよ。これがベストやろって思うメンバーをどれだけ選んでも、結局は1-0でどうにか勝つとか、1-1で引き分けとか、そういう結果になるのがワールドカップ予選なんです。

 だから、いかに選手が監督を信じて同じ方向を向いて戦っていくか、ですよね。

 今は海外でプレーする選手も多いんでね。自分のクラブに戻ってレギュラーをとれるかどうかっていう選手もいるし、そっちとの戦いもありますから。メンタル的にも疲れる試合だったんじゃないかと思います。選手も苦しんでいるんだろうなっていうはすごくよくわかります。

 今の日本代表も2連勝して2位まで上がりましたけど、こうやって強くなっていくんだろうなっていう感じはします」

 自身の経験から、加地が最も精神的に厳しかった試合として記憶しているのは、1次予選のアウェーでのオマーン戦だ。

 それまでに日本は4試合を終え、全勝で来ていたが、一方のオマーンもまた、日本に敗れた1試合を除き、全勝を続けていた。

 つまり、このオマーンとの試合が最終決戦。日本は引き分け以上で最終予選進出が決まるものの、もしも敗れるようなことがあれば、スコア次第で1次予選敗退が濃厚になる。そんな状況で迎えた試合だった。

「1チームだけが次の最終予選に上がれるなかで、アウェーでこれを勝たないといけないっていう試合でした。結局、1-0で勝ちましたけど、『1次予選からこんなに苦しんでたら、最終予選はどんなんなるんだろう』って。『ワールドカップ予選ってスゴいな』って思いましたよ(苦笑)。

 でも、緊張感とか、アウェーでのやりにくさとか、そのスゴさは見ている人には絶対にわからないことだと思います。しかも、日本はワールドカップに出ないといけないっていうムードにもなっているなかで、選手は結果を出さないといけないんですからね」

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