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「今考えると、すごい話」と明神智和。日本代表の歴史的な勝利後、ある人物の登場にロッカールームでの盛り上がりは最高潮に達した (2ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • photo by Getty Images

 もちろん、選手たちも「情報は知っていたので、プレッシャーがものすごくありました」。その4年前に初めてワールドカップに出場したばかりで、しかも1勝もできなかった日本にとっての決勝トーナメント進出は、現在想像するよりもはるかに高い壁だったのである。

「『ドーハの悲劇』を見て育った僕たちの世代は、ワールドカップに行くための予選の厳しさもわかっているし、ジョホールバルで勝って初めてワールドカップに出た時に、世界との差を見せつけられたことも知っている。

 2002年は(開催国としての出場で)予選がなかったので、そこを勝ち上がるプレッシャーはなかったですけど、いざ本番が始まって、決勝トーナメントに行かなきゃいけないというプレッシャーは、監督も、選手も、スタッフも、チーム全員が感じていたと思います」

 だからこそ、初めて手にした1勝に大きく安堵した。

 ロシアに勝ったといっても、まだ1勝。決勝トーナメント進出が決まったわけでもない。しかし、不安を抱えていた選手たちに大きな自信を与える勝利だったことは想像に難くない。

「自分にとって、自国開催のワールドカップに初めて出た試合であり、初めて勝った試合。それにプラスして、あのスタジアムの雰囲気が重なって、ものすごく大きな勝利だったと思います」

 日本中が熱狂した日韓W杯。初勝利を挙げたロシア戦の先発メンバー 日本中が熱狂した日韓W杯。初勝利を挙げたロシア戦の先発メンバーこの記事に関連する写真を見る 勝利の大きさを物語る、試合後のエピソードがある。

 ピッチから選手たちが戻ったばかりのロッカールームは、試合直後の興奮に包まれていた。すると、「ふいに(日本サッカー)協会の人たちの様子が、ちょっと変わったんです」。

 ロッカールームの扉から入ってきたのは、当時の小泉純一郎首相だった。

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