「怒りが収まらない」三都主アレサンドロ。今でも忘れられない日本代表の試合とは?

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • photo by Press Association/AFLO

日本代表「私のベストゲーム」(1)
三都主アレサンドロ編(前編)

これまでに数多くの選手たちが日本代表に選出され、W杯やW杯予選、アジアカップやコンフェデレーションズカップなど、さまざまな舞台で活躍してきた。そんな彼らにとって、自らの「ベストゲーム」とはどの試合だったのか。時を経て今、改めて聞いてみた――。

 2001年に日本国籍を取得して以来、日本代表として出場した国際Aマッチは通算82試合。三都主アレサンドロのベストゲーム候補は、必然、ひとつやふたつであるはずがない。

「(2004年)アジアカップの中国との決勝は、僕らがバスでスタジアムへ行くだけで物が投げられたりする、すごいプレッシャーのなか、日本の強さを見せて優勝できた。あの雰囲気のなかでも落ち着いてプレーできて、成長を感じた試合でした」

 ひとたび記憶をたどり始めると、三都主の口からは思い出の試合が次々とあふれ出る。

「他にも、自分がファールをもらって、自分でそのPKを蹴って、それが代表の勝利につながった試合(2003年東アジア選手権vs香港)もありましたし、(2006年ドイツW杯の)ブラジル戦は、ブラジル生まれの僕が日本人になってブラジルと戦うということで、不思議な気持ちになった試合ですよね」

 けど、とつないで、三都主は続けた。

「ブラジルには力を出し切って、1-4で負けた。がんばって悔いのなかった試合だったので、僕としては負けを認めるしかない。それより、今になっても(強く印象に)残る試合というのは、『もっとできたな』っていう悔いがある試合だと思うんですよね」

 そう言って、三都主が口にしたのは少々意外な試合だった。

「だから、僕のベストゲームというか、一番印象的なゲームという意味では、やっぱりトルコ戦かな。どうしても忘れられない試合です」

 2002年6月18日、宮城スタジアムで行なわれたワールドカップ日韓大会の決勝トーナメント1回戦、日本vsトルコである。

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