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大黒将志の人生を変えた一発。「神様、仏様、大黒様」一夜にして国民的ヒーローになった (3ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • photo by PICS UNITED/AFLO

 ただし、"サッカーの神様"の下でプレーしながら、少々残念に思っていたこともある。

「ジーコさんが監督なんで、僕、『シュートはこうやって打つねん』みたいな感じでもっと教えてもらえるのを期待していたんですけど、あんまりそういうのがなくて(笑)。ジーコさんに直接教えてもらえる機会なんて、ガンバにいるとなかなかないんで、単純にもうちょっと教えてもらいたかったっていうのはありますね」

 Jリーグでの2005年シーズンを終え、グルノーブル(フランス)への移籍を決断したのも、代表を経験したことが大きく影響していた。

「代表で海外組の人たちと話すなかで、自分も海外でやってみたいっていう思いがすごく湧いてきたというか、どんどん膨らんできた。そこでちょうどオファーもいただいて、今後のためにもなるって思ったし、単純にもっとレベルの高いところでやりたかったこともあって、ガンバと話をして行かしてもらうことになりました」

 なかでも一番の相談相手は、中田英寿だった。

 大黒は「ヒデさんに相談して、行けるんやったら行ったほうがいい、と言ってもらった」ことで、強く背中を押されたという。

「昔からヒデさんを知っている人は、ちょっと気を使っている部分があったと思うんですけど、僕はヒデさんと話せる機会もなかなかないですし、いろんな話を聞きたかったんであんまり気を使わず、食事の時にヒデさんの前の席が空いていたら一緒にご飯を食べて、サッカー以外にも車の話とか、いろんな話をして仲良くしてもらいました。(海外移籍の時には)代理人も紹介してもらいましたし、こっちから聞いていけば、何でも教えてくれますし。面倒見のいいやさしい人で、すごく感謝しています」

 いくつもの国内外のクラブで活躍してきた大黒も、今年1月、40歳で現役引退を発表。現在は、自らも育った古巣ガンバのアカデミー(育成組織)でコーチを務めている。

「自分が経験してきたこと全部が(指導の)ベースになっています」

 そう話す"大黒コーチ"の目に、現在の日本代表はどう映っているのだろうか。

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