大黒将志の人生を変えた一発。「神様、仏様、大黒様」一夜にして国民的ヒーローになった (2ページ目)
日本を救う劇的なゴールをきっかけに代表メンバーに定着した大黒は、この最終予選全6試合のうち4試合に出場。日本がワールドカップ出場を決めたアウェーの北朝鮮戦(中立地のタイ・バンコクで無観客試合として開催)でも、勝利を決定づける2点目のゴールを決めている。
大黒自身、「やっぱり、初ゴールのほうが印象は強い」とは言うものの、このゴール――DFラインの背後へ抜け出し、最後は右足のシュートフェイントでGKを完璧に抜き去った――もまた、非常に価値あるものとして記憶に残っている。
「あの2点目のゴールは、抜け出したあと、最初はもうシュートを打とうと思ったんですけど、あそこで(打つのを)止められたのがよかったと思います。ガンバの下部組織で『判断を変えられる選手がいい選手』って教えられていたんで、ああいうとこはやっぱり上野山(信行)さんとか、ガンバの指導者の方々のおかげという思いが、今はもちろん、当時からありました」
W杯最終予選の初戦で劇的なゴールを決めて代表定着を果たした大黒将志 いわば、大黒に始まり、大黒に終わった最終予選。
決して出場時間は多くなかったが、代表で過ごす日々がどれほど充実していたかは、当時を語る大黒の楽しげな様子で明らかだ。
「紅白戦でもよく点を入れていました。Aチーム対Bチームで試合をするんですけど、そのBチームがまたうまいんですよ(笑)。ヤット(遠藤保仁)さんがBチームにいるくらいなんでね。(中田)浩二くんとか、本山(雅志)さんとか、メチャクチャうまくて、すごく楽しくやっていました」
チームメイトだけではない。大黒にとってはジーコ監督もまた、とても相性のいい指揮官だった。
「細かいことを言わず、いつも『点をとってきてくれ』って言ってくれて。僕、そういう監督が好きなんです(笑)」
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