丸山桂里奈が感じていた女子サッカー界の違和感と危機感。なでしこ優勝後も「そんなに変化はなかった」 (2ページ目)

  • 早草紀子●取材・文・写真 text&photo by Hayakusa Noriko

 思い出深いJヴィレッジから、またそれぞれ前を向いて歩きだしている選手たち。丸山は現在、どのようにサッカーと向き合っているのだろうか。

「イベントとかで結構ボールを蹴ってますよ。一時期はコロナでイベントが全部飛んでサッカーをする機会がなくなっちゃたんですけど、最近またサッカースクールをやり始めてます。引退してから月一で何らかのサッカー関係のイベントはやってるんです、実は(笑)」

 いろいろやりたいイメージは膨らんでいそうだ。ただ、明るくハツラツと話す一方で、彼女が捉えている女子サッカー界の現状については意外にも現実的だった。

「10年前のワールドカップ優勝で女子サッカーは変わったって言われるけど......確かに変わったところもあるけど、ずっと思ってたことがあって。あの優勝で"なでしこジャパン"を見てくれるようにはなったと思うんです。なでしこジャパンや、その一員である選手たちがいる強いチーム。例えばINAC(神戸レオネッサ)とかは見に行くけど、私が所属していたチームは強いチームではなかったので、実はそんなに変化はなかったんです」

 確かに、優勝直後は「ひと目、なでしこたちを見よう」と観客が押し寄せて開場待ちをする長蛇の列を見ることもあったが、代表選手を抱えていないチームの客足が伸びたという訳ではなかった。その客足もブームが去ったあとは戻ってこなかったことも事実だ。

「もちろん優勝してよかった!という気持ちは大きかったけど、同時になでしこリーグが盛り上がらないと女子サッカーの価値は上がらないんだなって思ったんです」

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