森保監督のマネジメントの良さはどこにあるのか。選手選考や起用方法などを考察

  • text by Tsugane Ichiro
  • photo by Sano Miki

福田正博 フットボール原論

■東京五輪を間近に控える森保ジャパン。9月からはW杯のアジア最終予選もスタート。その手腕は見どころになる。今回は福田正博氏に、森保監督のここまでのチームづくりを振り返ってもらった。

東京五輪に臨む森保ジャパン。大会後はA代表との融合が楽しみ東京五輪に臨む森保ジャパン。大会後はA代表との融合が楽しみこの記事に関連する写真を見る U-24日本代表は、いよいよ東京五輪を間近に控え、A代表は9月から始まるW杯アジア最終予選の組み合わせも決まった。日本はオーストラリア、サウジアラビア、中国、オマーン、ベトナムと戦い、グループ上位2位になれば自動的に2022年カタールW杯への出場権を得る。3位の場合は別組3位とプレーオフを戦い、その勝者が大陸間プレーオフに臨む。

 日本は18年ロシア大会まで、W杯に6大会連続で出場し、今回の最終予選はグループ内ではFIFAランキング最上位に位置している。だからといって楽観視できるわけではない。それは"ドーハの悲劇"を肌で知る森保一監督が、誰よりもよく理解されしているはずだ。

 最終予選では、W杯出場権を獲得するのが最大のミッションである。しかし、本大会でベスト8以上の成績を目指すうえでは、そこでの戦いを見据えたチームづくりも進めなければならない難しさも併せ持つ。

 ただし、森保監督のこれまでのチームづくりのマネジメントを振り返れば、この難しいミッションにも期待感しかない。

 その理由は、森保監督は人に対しての接し方も、物事の進め方も丁寧だからだ。選手の気持ちに寄り添いながら筋道の通った選手選考、起用を重ねてきた。さらに、日本代表監督と並行して東京五輪代表監督を務めてきたことも、森保監督の最終予選でのミッションを楽しみにさせる要因になっている。

 森保監督は17年11月から五輪代表監督になり、18年ロシアW杯には日本代表のコーチとして参加。W杯後の18年7月末に日本代表監督に就任した。当時の日本代表が直面していた課題が、世代交代だった。

 ロシアW杯の日本代表メンバーの主体が北京五輪世代で、平均年齢は28.6歳。そこから4年後を見据えた時には、世代交代は不可避だった。森保監督は「世代間の融合」をキーワードに掲げ、この3年間で日本代表の主力を北京五輪世代から下の世代へと移してきた。

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