「日本サッカーは確実に進歩している」。かつてイングランド代表戦で贈られた日本代表への賛辞

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 赤木真二●写真photo by Akagi Shinji

日本代表が強豪国と戦う時(4)~イングランド
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高い技術でイングランドの選手を圧倒した日本代表の小野伸二高い技術でイングランドの選手を圧倒した日本代表の小野伸二 ユーロ2020、イングランドは聖地ウェンブリーで強豪ドイツを2-0で下し、ベスト8に駒を進めている。ディフェンスラインには屈強な男たちが立ちはだかり、サイドにはキーラン・トリッピアーのように一撃のある選手を配し、前線ではラヒーム・スターリングが疾風の如く駆け回り、ハリー・ケインは敵に威圧感を与えていた。武骨さや規律だけでなく、スピード感や打撃力も感じさせるチームだ。まさにサッカーの母国の称号にふさわしい。

 そのお膝元であるプレミアリーグで、昨今は日本人選手が活躍を見せるようになった。

 吉田麻也(現サンプドリア)はカップ戦も含めて200試合近くもサウサンプトンのユニフォームを身に纏って戦い、岡崎慎司はレスター・シティのレギュラーFWとしてリーグ優勝の栄誉を得た。そして、南野拓実(現サウサンプトン)が昨季の王者リバプールの選手としてピッチに立ってゴールを決めるなど、夢のまた夢だった話が現実になっている。

「プレミアリーグのパワーやスピードに日本人は通用しない」

 15年ほど前まで、それが通説だった。しかし、一歩一歩と、先人たちはその地を踏みしめ、不可能を可能にしてきた。かつて、そんな日本人のサッカー選手の道標となった試合があった。

 2004年6月、マンチェスター。日本はイングランドとの対戦に挑んでいる。

 イングランドは直後のユーロ2004開幕に向け、ベストメンバーを組んできた。ウェイン・ルーニー、マイケル・オーウェン、スティーブン・ジェラード、フランク・ランパード、そしてデビッド・ベッカムと錚々たる面子だった。地元の大歓声に背中を押された彼らには、「どのように勝つか?」しか頭になかっただろう。

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