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「日本サッカーは確実に進歩している」。かつてイングランド代表戦で贈られた日本代表への賛辞 (3ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 赤木真二●写真photo by Akagi Shinji

◆日本代表がW杯直前に演じた強豪とのドロー劇。高原直泰「能力的にドイツ選手に劣っていない」

 どよめきが消えないスタジアムで、その後も日本は優勢にプレーを進めた。もはや、イングランドを恐れていない。中村、小野のボールキープは相手を凌駕し、その自信がチーム全体に伝播すると巨大なエネルギーになった。

「後半は完全に翻弄された時間帯もあった。日本サッカーは確実に進歩している。戦術に縛られず、強烈なエネルギーを感じた。スピードも創造力もあるし、タックルも力強かったし、強敵だった」

 この日、イングランドの攻撃を牽引したジェラードの賛辞である。

 結局、日本は中村、小野が決定機を掴んだものの、逆転することはできなかった。イングランドのカウンターを受けたのも事実で、1-1の引き分けはやはり妥当な結果だったのかもしれない。それでも現地で絶賛されたのは健闘した日本のほうで、裏をかく技術やスピードは好印象を残した。

 日本の選手たちは序盤、イングランドの攻撃に明らかに動揺し、力を出し切れなかった。90分間を通したマネジメントとして考えれば、失敗と言えるだろう。しかし、メンタルコントロール次第でイングランドに比肩するだけのポテンシャルも示している。恐れずに戦い続けられるか。そこに、サッカーの母国でも生き抜いていける答えはあった。

 吉田、岡崎、南野の3人は、プレミアリーグ特有のパワーとスピードを土台にした舞台で、個性を発揮できる硬骨を持っていた。それはかつて日本代表がイングランドを相手に、後半の限られた時間に放った輝きと似ている。臆せずに、したたかに戦うことができたら、日本人の俊敏性やボールスキルの高さや発想力はどこにも誰にも見劣りしないのだ。

「(試合が進むにつれて)守備での切り替えの速さや落ち着きが見え始めた。イングランドのような相手でも、日本は自分たちのサッカーができれば十分にやれる。先に失点しても諦めない強さを本物にしてほしい」

 試合後、ジーコ監督(当時)からのメッセージだ。

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