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日本代表がW杯直前に演じた強豪とのドロー劇。高原直泰「能力的にドイツ選手に劣っていない」 (3ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by AFLO

◆ドイツW杯、稲本潤一は選手として我慢すべき一線を越えてしまった

 後半30分、FKからのクロスに宮本恒靖が対応したが、長身FWミロスラフ・クローゼに引きずり倒され、ファーポストで合わせられる。その4分後にも右FKを献上し、今度は福西崇史が振り切られ、バスティアン・シュバイシュタイガーにヘディングで叩き込まれる。2-2のドローは、当時では精一杯だったのかもしれない。

 あれから15年、日本人選手はブンデスでプレーすることで、メキメキと腕を上げている。異なる環境に適応し、特性である技術と俊敏さを融合させたコンビネーションのアドバンテージが出るようになった。鎌田や堂安律(PSV)はその典型だろう。

 ドイツと日本。国民性が似ていることで、成長を促されたのか。

 日本人は基本的に真面目で、組織を重んじる。それはドイツのメンタリティと符合する。スペイン、イタリアでは誠実さは必ずしも美徳ではなく、ずる賢さや抜け目のなさのほうが重んじられる。ラテンの人々は我が強く、例えば語学ひとつとっても「なぜこの国の言葉を話せない?」となる。一方でドイツ人は規律正しさや努力を認め、他者への理解も深い。

「ハセ(長谷部)は真面目だった。監督から言われたことを従順にやっていた。よくあそこまでできるな、と思うほど」

 ヴォルフスブルクで長谷部と同僚だった大久保の言葉である。ドイツでは、真面目さは最高の友だ。
(つづく)

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