都築龍太が選ぶ歴代日本人GKベスト10。1位は「鉄板の2人」のどっち? (3ページ目)
6位 岡中勇人(元ガンバ大阪ほか)
僕がガンバ大阪に入団した当時の正GKが、岡中さんでした。初めて見た時はとにかくすごかった。当時はまだ本並健治さんが所属していたんですが、岡中さんがレギュラーを奪ったシーズンだったんです。おそらく、岡中さんがすごく成長した時期だったんですよね。
その頃のGKコーチが、元オーストリア代表GKのフリードリッヒ・コンシリアという人で、選手としてはワールドカップに2回出ているすごい方でした。漫画『スラムダンク』の安西先生のような雰囲気で、人間性もすばらしい方でした。初めてコンシリアのコーチングを受けた時は衝撃的すぎて、カルチャーショックを受けましたね。
練習は楽なのにすごく中身が詰まっていて、僕にとっては初めて知ることばかりでした。その練習を岡中さんは2年くらい受けてきて、完成形だったんです。だからコンシリアの練習のお手本は、いつも岡中さん。手の出し方や体の使い方、シュートストップ、1対1の対応など、僕は岡中さんの動きを意識して練習していました。
岡中さんは、98年のフランスW杯前の合宿では代表にも選出されていたほどでした。当時のガンバの試合は、攻撃面でパトリック・エムボマ(カメルーン)が目立っていましたけど、岡中さんは神がかったプレーで守備の中心でしたね。新人だった僕にプロの壁の高さを思い知らせてくれたGKです。
5位 川島永嗣(ストラスブール)
永嗣のことをちゃんと知ったのは、彼が川崎フロンターレに所属していた頃でした。あの頃は日本代表合宿にGKは4人呼ばれていて、1番手と2番手は楢﨑(正剛)さんと(川口)能活さんの鉄板の2人。それで3番手と4番手はコロコロと変わっていたんです。そこで僕と永嗣が一緒になって、彼をよく知るようになりました。
永嗣は練習で、楢﨑さんや能活さんよりも存在感があるほどのプレーでした。ストイックで意識は人一倍高いし、技術も高いものがありました。でも、試合ではなかなか結果が出せなかったんですよね。そういう時期を見てきて、その後の活躍があるので、チャンスを掴んできたGKだと思います。
南アフリカW杯前のイングランド代表との試合は、彼が試された場でしたけど、闘莉王や(中澤)佑二くんとコミュニケーションを取りながら、自分を見せつつDFもうまく使えていました。自分が試される試合であそこまで堂々とできるのはなかなかないと思うんですけど、当時第3GKの状況であっても、ああいったことを常に意識しながら準備をしていたんだなと思いましたね。
本大会でも活躍して、そこからの永嗣は練習でやれていたプレーが試合でも表現できるようになったと思います。止めないといけないシュートは絶対に止めていたし、止められなさそうなシュートも止めるようになった。プレーの幅がすごく広がった印象がありました。
今38歳ですけど、フランスで活躍していますよね。40歳を超えても、まだまだ高いモチベーションを持ってやれるGKだと思います。
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