都築龍太が選ぶ歴代日本人GKベスト10。1位は「鉄板の2人」のどっち? (5ページ目)

  • 篠 幸彦●取材・文 text by Shino Yukihiko
  • photo by Getty Images

「1位と2位は不動の2人」(都築氏)という、楢﨑正剛と川口能活「1位と2位は不動の2人」(都築氏)という、楢﨑正剛と川口能活2位 川口能活(元横浜F・マリノスほか)

 日本代表のGKを象徴する一人ですよね。みなさんが知ってのとおり、勝負強くて大事な試合ですごいプレーをして、チームを勝たせることができる。

 能活さんはとにかく負けず嫌いの塊のような人で、周りに負けたくないのはもちろんだけど、何より自分に負けたくないという人でしたね。あの神がかったプレーの連続は、そうした努力の積み重ねによって、生まれてきたものだと思います。

 存在感はとにかく際立っていて「能活さんがいれば点は入らない」と思わせるほどでした。ただ、代表で能活さんと練習をしているとなぜか普通な感じで、そんな雰囲気を感じさせないんですよ。だけど試合になると、本当にすごい。

 とにかく試合での集中力がすごかったし、大事な試合とか局面になるほど、それが研ぎ澄まされていきました。28年ぶりのオリンピック出場を決めた、96年アトランタ五輪の予選もそうだし、本大会のブラジル戦でも凄まじいセーブで「マイアミの奇跡」を起こしましたからね。日本中が期待すればするほど、能活さんは良いプレーをしました。

 今は五輪代表チームのコーチをやっていますけど、マネージャーに話を聞くと練習の内容どうこうではなくて、能活さんの存在自体が選手たちの成長につながっていると言います。昔だけではなくて、今の若い選手にも大きな影響力のあるGKです。

1位 楢﨑正剛(元名古屋グランパスほか)

 意見が分かれるでしょうが、僕は楢﨑さんを1位に推したいと思います。同じ奈良県出身なので中学生の頃から知っているんです。楢﨑さんが中学3年の時に僕は1年生。当時の楢﨑さんは坊主頭で、初めて大会で見た時から体も大きくすごいGKでした。

 彼のチームは弱かったんですよ。それで県内の強豪チームと1回戦で当たって、普通なら0-15とかで負けるような試合になるはずが、0-2くらいでしたから。楢﨑さん一人で止めまくっていました。

 その後、奈良育英高校に行って、僕も行く可能性があったので練習参加した時に周りに話を聞くと、中学の時の存在感のまま活躍していました。PKで枠を外れたシュートまで止めたことがあるっていう逸話も聞きました(笑)。

 楢﨑さんのプレーに派手さはまったくない。もちろん、ビッグセーブも出るんだけど、絶対に入れられてはいけないタイミングとか、時間帯とか、ピンチの時に楢﨑さんはどっしりと構えて、防いでくれる。

 それからミスが少ない。試合中、GK同士でないとわからないミスってあるんですよ。そんなミスもとにかく少なかった。終始安定したプレーと、すばらしい人間性、キャプテンシーで存在感は絶大でした。

 能活さんと楢﨑さんが日本代表やJリーグで切磋琢磨して、日本のGKのレベルは確実に上がったと思いますね。日本サッカーへの多大な貢献ということで、1位と2位は不動のこの2人だと思います。

都築龍太
つづき・りょうた/1978年4月18日生まれ。奈良県出身。国見高校から97年にガンバ大阪に入団。03年からは浦和レッズでプレー。リーグ、天皇杯、AFCチャンピオンズリーグでタイトルを獲得した、チームの黄金期のGKとして活躍した。日本代表は国際Aマッチ6試合出場。10年に湘南ベルマーレでプレーしたのを最後に引退。現在はさいたま市議会議員を務める。

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