サッカーにリフティングはいらない? 下手でも日本代表になった選手の考え (3ページ目)

  • 鈴木智之●取材・文 text by Suzuki Tomoyuki
  • photo by AFLO

◆日本サッカー界の「天才」ランキング。「リアル翼くん」は誰だ?>>

「リフティングはシュート練習、パス練習と同じで、サッカーの練習のひとつですよね。リフティングができなくても、ほかの部分に特長のある選手はいます。指導者目線で言うと、『リフティングができないから、この選手はダメだ』というジャッジはしないほうがいいですよね。リフティングだけが、サッカーの上手い、下手をはかる基準ではないですから」

 リフティングには、大きく分けて2つのやり方がある。足先でボールを細かく突く「ちょんちょんリフティング」と、足の甲(インステップ)やインサイドでボールを突く「とんとんリフティング」だ(※ネーミングは共に福西氏)。

「子どもたちがリフティングをしている様子を見ていると、足先だけで何度も突く、ちょんちょんリフティングが多いですよね。集中力は養われるかもしれませんが、サッカーの試合中にちょんちょんリフティングが活きる場面は、かなり限定的です。なので、僕は子どもたちに『ちょんちょんができるようになったら、とんとんをやってみたら?』と言います」

 サッカーの試合中、浮き球を足でコントロールするプレーは頻出する。浮き球のコントロールを身につけるにあたって、リフティングは効果的だ。また、空中にあるボールを足でとらえるボレーキックの感覚をつかむ際にも、リフティングは役に立つ。

「リフティングがすべて無意味とは思いません。浮き球やボレーの感覚を養うなど、目的を持って取り組むのはいいと思います。ジーコジャパンの時に一緒だったヒデ(中田英寿)は、練習前のウォーミングアップでボールを頭上に蹴り上げて、落ちてくるまでの間に首を振って周りを見て、足でボールをコントロールする動きを繰り返していました。試合のどういう状況でリフティングの技術が活きるかをイメージしながら練習すれば、実戦で使える技術になると思います」

 リフティングはあくまで、「サッカーの数ある練習のひとつにすぎない」と言う福西氏が繰り返し説くのが「試合に活きる練習をすることの大切さ」だ。

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