日本代表左サイドバック問題。長友の後継者は誰になるのか?

  • text by Tsugane Ichiro
  • photo by Getty Images

福田正博 フットボール原論

■コロナ禍のなか、2020年10月、11月にヨーロッパで2試合ずつ、貴重な強化試合を行なえた日本代表。だが、課題も多く出た。そのなかの一つが、長友佑都の後継者が出てこないという左サイドバック問題だ。2年後のカタールW杯に向けて、日本代表はこの課題にどう向き合っていくべきなのか。福田正博氏が考察した。

 サッカー日本代表の森保一監督は、10月、11月の国際親善試合で3バックを導入した。

 森保監督は、サンフレッチェ広島を率いた時は、3バックを敷いてJリーグを3度制覇。つまり、彼の代名詞とも言えるフォーメーションを採用した形だ。

森保ジャパンでは、左SBでも起用されている中山雄太森保ジャパンでは、左SBでも起用されている中山雄太 しかし、森保監督が重視するのは、攻守での数的優位のつくりやすさで、そのために広島でもっとも機能した布陣が3バックだったということ。だからこそ、日本代表では4バックでも数的優位をつくれると判断し、主に4-2-3-1の布陣を採ってきた。

 それが、ここにきて3バックを試した狙いは、戦い方の引き出しを増やしたい意図はもちろん、左サイドバック(SB)で長友佑都(マルセイユ)に代わる人材がなかなか台頭しない背景もあるだろう。

 長友は2021年9月で35歳。圧倒的な体力と走力を武器に左サイドで主導権を握り、守備でも粘り強いマークで相手のエースを封じてきた。それでも全盛期のパフォーマンスから、さすがに衰えが見え始めている。

 いまの10代を見れば、日本サッカー界が長年にわたって課題とされてきたこのポジションは、育成年代の指導者たちの努力の成果が現れようとしている。

 例えば左SBでは、サガン鳥栖に17歳の中野伸哉がいる。足元の技術があって、オーバーラップするタイミングもいい。守備に成長の余地を残すものの、粘り強く対応する意識を持っている。彼のような選手が国際レベルへと育っていけば、長友の後継者問題に終止符は打たれるだろう。

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