川口能活に聞く。Jリーグの若手GKが韓国人からレギュラーを奪うには? (4ページ目)

  • 原田大輔●取材・文 text by Harada Daisuke
  • photo by AFLO

 だからといって、ミスをしていいって言っているわけではないですけどね(笑)。成功するにはチャレンジし続けるしかない、ということを伝えたいんです」

 それは、43歳まで現役を続けてきた川口が最後まで見せていた姿でもあったように記憶している。彼がプロになった時から25年が過ぎ、今ではGKに求められる役割も大きく変わった。それは現代サッカーにおいて、最も変化したところと言えるかもしれない。

「僕が若かった時は、まったく足もとの技術は求められていなかったですし、ただゴールを守っていればよかった。でも、今のGKは足もとの技術も含め、本当にやることが増えているので大変だとは思います。GKがCBのような動きを求められていますし、CBはボランチのような役割を求められていますからね。

 だからこそ、積極的にプレーに関わっていくようなGKが、これからは求められていく。ゴールを守ることは大前提。とくに1対1のシュートストップは、より求められるようになっていると思います。そのうえで、戦術理解度に加え、フィールドプレーヤーと関わっていけるGKが重用されていくと思いますし、そういうGKを育てていかなければいけないとも思っています」

 再び川口の現役時代を思い起こせば、当時は積極的に前に出て守ることから、「前に出すぎだ」と揶揄されることもあった。だが、それから時間が過ぎ、GKに足もとの技術が求められるようになれば、ペナルティエリアを飛び出して広いエリアをカバーすることが求められるようになった。

「Jリーグで出場機会を得ているように、U−23世代、さらにはU−19の世代には非常に優秀なGKが揃っています。GKはフィールドプレーヤー以上に、育成に時間のかかるポジションでもあると思うんです。

 これまではJリーグでも外国籍のGKが起用される傾向にありましたけど、今シーズン多くの若手が出場機会を得ているように、10代、20代前半の選手たちが活躍する時代は来ると思いますよ。彼らはスタンバイできている状態なので、じきに台頭してきてくれるという期待感はあります」

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