森保監督の采配と選手のサッカーIQ。
11カ月ぶり代表戦の見どころ (2ページ目)
浅田 今回の代表戦2試合にしても、悪く言えば位置づけが中途半端というか......。とりあえずやりましょうという感じの試合だから、どうしても評価のハードルは下がってしまうでしょう。仮に悪い試合をしたとして、真剣に否定的な意見を述べ立てる試合でもないだろうというのが現実で、そういう意味では、今の流れを変えるものにはなりにくいだろうなと思います。
杉山 見どころは、監督と個々の選手、ふたつあると思います。
布陣の話をすると、森保監督はフル代表では4バックを採用し、五輪代表チームは3バックでやってきました。ところが代表では最後のE-1選手権では、急に5バックになりやすいスリーバック・ツーシャドー型に変えた。同じ監督が、コンセプトの違うサッカーを代表と五輪チームでしていること自体、疑問があるのですが、代表はどっちのスタイルでやろうとしているのか。
今、日本にはいいドリブラーが出てきていると思うんです。海外では久保建英(ビジャレアル)を筆頭に、伊東純也(ヘンク)、堂安律(ビーレフェルト)、中島翔哉(ポルト)らがいるし、小さくて切れるドリブラーがJリーグでも新たにすいぶん出てきています。ロシアW杯で両ウィングを務めた乾貴士(エイバル)と原口元気(ハノーファー)ぐらいから、4-2-3-1や4-3-3という布陣にあったサイドアタッカーが出てきて、日本サッカーは、パッサーが幅を利かせる「中盤天国」の時代から、選手の質がだいぶ変わってきたなという印象があります。
ツーシャドーのサッカーにすると、そういうドリブラーが収まる場所がない。仲川輝人(横浜F・マリノス)なんかをそこで使ってもはまらないわけですよ。ここは解釈の違いですが、僕は日本には明らかに4-2-3-1や4-3-3、4-4-2のほうが合っていると思うのですが、森保監督はどう思っているのか。
浅田 見どころということでいうと、僕はまず単純に、怖いもの見たさのような興味があります。フル代表で11カ月の間隔が開いたわけですが、ほぼ丸1年試合をやらなかったということは、少なくともこの数十年、日本サッカー史上ないことです。それがポーンと集まって、どういうことになるのか。ある種、選手のサッカーIQの高さが測られるようなところがある。前にやった感覚みたいなものもあまり残ってないでしょうし。即興でどの程度できるのかな、と。
2 / 4