鈴木彩艶の「ボールを踏む技術」に進化の証 南雄太は「日本のGKの歴史を大きく変える」と絶賛
【新連載】
南雄太「元日本代表GKが見た一流GKのすごさ」
第5回:鈴木彩艶(日本)
圧倒的な強さで2026年ワールドカップ本大会の出場権を獲得した日本代表において、「不動の守護神」として君臨するのが22歳の鈴木彩艶だ。
その実力はアジア最終予選でも証明済みで、アウェーのサウジアラビア戦で見せたビッグセーブなど、終始安定したパフォーマンスを披露。チームはここまでの8試合でわずか2失点という鉄壁の守備を誇るが、鈴木もそれに大きく貢献した。
その鈴木が所属するクラブは、守備の国イタリアのトップディビジョンにあたるセリエAのパルマだ。
鈴木彩艶は22歳ながら森保ジャパン不動の守護神だ photo by Sano Mikiこの記事に関連する写真を見る 当初は、日本のGKにとって極めてハードルの高いチャレンジと目された。しかしフタを開けてみれば、加入初年度にもかかわらず、開幕戦から正GKの座をキープ。レッドカードで出場停止となった第4節以外は、すべての試合で先発フル出場を果たしている(第37節終了時点)。
驚くべき進化を遂げる鈴木を、果たしてスペシャリストはどのように見ているのか。現在、横浜FCフットボールアカデミーサッカースクールや流通経済大学付属柏高等学校で育成年代のGKコーチを務めながら、解説者としても活躍する南雄太氏にうかがった。
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「もちろんこれまでの活躍ぶりは承知していますが、今回一つひとつのプレーを細かく見させてもらって、あらためて彼が『規格外のGK』であることがよくわかりました。そもそもセリエAのパルマでレギュラーとして活躍していることもそうですが、これから日本のGKの歴史を大きく変えていく選手であることは間違いないですね」
開口一番、そのように称賛した南氏は、続いて鈴木の特徴と強みを解説してくれた。
「まず彼を語るうえで欠かせないのが、圧倒的なパワーです。これまでの日本のGKは、ヨーロッパや南米のGKに対して技術で対抗するしかなかった、という歴史がありました。しかし、鈴木には彼らと同等のパワーがあります。
そのパワーというのは、プレーのいろいろな部分に表れています。たとえば、相手に逆を取られた瞬間に、逆足で地面を蹴ってシュートを防ぐシーンを見ても、その蹴り足に日本のGKとは別次元のパワーを感じます。
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著者プロフィール
中山 淳 (なかやま・あつし)
1970年生まれ、山梨県出身。月刊「ワールドサッカーグラフィック」誌編集部勤務、同誌編集長を経て独立。スポーツ関連の出版物やデジタルコンテンツの企画制作を行なうほか、サッカーおよびスポーツメディアに執筆。サッカー中継の解説、サッカー関連番組にも出演する。近著『Jリーグを使ってみませんか? 地域に笑顔を増やす驚きの活動例』(ベースボール・マガジン社)