三浦泰年はドーハのイラク戦で思った。マリーシアを知る自分を出せ (2ページ目)

  • 佐藤 俊●取材・構成 text by Sato Shun
  • 藤巻剛●撮影 photo by Fujimaki Goh

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 三浦はベンチに戻ると代表に呼ばれる前の時のようにドキドキしながら試合を見ていた。その後、イランが追加点を入れ、中山が1点を返したが、そのまま試合は終わった。日本は、イランに2-1で敗れ、2試合で1分1敗、グループ最下位に転落した。

 選手たちは落胆の色を隠せず、チームは沈痛なムードに包まれていた。

 イラン戦の翌日、三浦はオフトの部屋に呼ばれた。

「よくやってくれた。だが、次は(左サイドバックから)外す」

 突然の宣告に、三浦は、静かに頷いてオフトの部屋を出た。

「オフトに『外す』と言われて、まぁ当然の判断だろうって思いましたね。短期決戦で大事な1試合を一つ落としてしまった。メンバーをいじって、ここから立て直していかないといけないので」

 部屋に戻ると、都並が心配そうな表情で三浦を迎えた。

 ドーハのホテルでは2人部屋で、三浦は都並と同部屋だった。都並が持っている左SBのノウハウを三浦に伝えてほしいというオフトの考えがあったからだ。だが、2人はプレーについてはほとんど話をしなかったという。いつも見ていたのは練習後、麻酔が切れてベッドの上で激痛に喘ぐ都並の姿だった。

「あの都並さんがあれだけ痛がっていたので、相当な痛みだったと思います。それでも練習に出るために痛め止めを打って、最後まであきらめずに試合に合わせていこうとしていた。そういう姿を間近で見ていたので、なんとか都並さんのために1試合でも多く試合に出て、期待に応えたかったんですけど......。それができず、本当に悔しくて、申し訳ない気持ちでいっぱいでした」
 
 その日の練習から左サイドバックには勝矢寿延が入った。

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