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「ポスト大迫」がいない今、
発想を転換すべき森保Jに最適なFWがいる (2ページ目)

  • 浅田真樹●文 text by Asada Masaki
  • photo by Etsuo Hara/Getty Images

 とりわけ強い印象が残っているのは、グループリーグでのベトナム戦だ。

 日本が0-1で敗れたこの試合、日本は内容的にも、かなりの苦戦を強いられた。U-21代表の日本に対し、ベトナムはU-23代表。しかも、日本が短い準備期間の急造チームだったのに比べ、ベトナムは長期的に強化されてきたチームであり、戦術的な完成度には大きな差があったからだ。日本はベトナムのプレスに苦しみ、思うようにボールを前に運べなかった。

 そんななか、日本の唯一の反撃手段が、前田のスピードだった。パスをつなげない日本は、苦し紛れにDFラインの裏へ大きく蹴り出すしかなかったが、アバウトなロングボールであろうと、前田が拾ってくれたのだ。

 そもそも、そんな試合展開になったことをまずは反省しなければならないが、だからこそ、前田の驚異的なスピードが際立ったとも言える。

 とにもかくにも、足の速い選手はそれだけで貴重だ。

前田大然のスピードは攻守で武器になる前田大然のスピードは攻守で武器になる だが、スピードが有効なのは、攻撃だけではない。Jリーグでのプレーぶりを見ていると、むしろ前田のスピードは守備でこそ生きる、と言ってもいいほどだ。

 前田はチーム戦術を理解したうえで、前線でのチェイシングやプレスバックで、的確に相手の攻撃の芽を摘むことができる。しかも、相手選手にしてみれば、視界の外から突然距離をつめて近づいてくるのだから、常に「いつ前田が襲いかかってくるかわからない」という目に見えないプレッシャーと戦いながらプレーすることになる。通常の感覚ではプレーさせてもらえなくなるのだ。必然、ミスが起きる可能性も高まる。

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