小野伸二にとって「歴代代表監督の中で
トップ」はトルシエだった (2ページ目)
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小野が大会初ゴールを決めたときは、播戸竜二ら控えのメンバー全員がベンチから飛び出して、お祭り騒ぎのようになった。レギュラー組とサブ組がひとつになっていることを象徴するシーンだった。
「試合に出ていない彼らの存在は、チームにとって本当に大きかったですね」
当時を振り返って、小野はしみじみとそう語った。
ワールドユースのメンバーは総勢18名。そのうち7名がサブメンバーとなる。しかし、サブメンバーとはいえ、一人ひとりは"お山の大将"のような面々であり、若いときから自らが所属するチームではバリバリのレギュラーでプレーしてきたエリートだ。ベンチに座らせられることは、若さもあって、自分のなかで折り合いをつけるのは、決して簡単なことではない。
そのことを理解していた小野は、ポジティブなムード作りのために「練習以外の時間を大事にした」という。
「(大会に臨むにあたって)練習時間以外に、いかにチームをひとつにまとめるか――実は、それがすごく大事だと思っていました。そのために、リラックスルームに集まって、(日本から持ってきた)DVDのドラマとかをみんなで見ていました。"みんなで"という意識が大事で、一緒にいるとその意識が強くなる。それは、大会を通してできていたと思います」
播戸をはじめ、氏家英行、加地亮、稲本潤一らサブメンバーは、頭を丸刈りにするなどして、日頃からチームを盛り上げるために尽力した。試合になれば、両手に冷たいペットボトルやタオルを抱えて、プレーが中断した際には、ピッチ上で戦う選手たちに手渡しして、抜かりないサポートを心がけた。
彼らは彼らで、「自分たちがチームの雰囲気を悪くすることだけではしてはいけない」と心に決め、その一点でまとまり、最後までバラバラになることはなかった。
「控えのみんなは、練習では緊張感を高めてくれて、それ以外ではみんなと一緒にワイワイして、明るい雰囲気を作り出してくれた。試合に出られなくても腐ることなく、常にポジティブな姿勢でいてくれた。試合に出ていない選手があれだけやってくれたので、自分も含めて、試合に出ている選手は大きな責任を背負ってプレーしていたと思います」
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