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ベトナム戦の内容ではイランに通用しない。データが示す森保Jの低調ぶり (4ページ目)

  • 中山淳●文 text by Nakayama Atsushi 藤田真郷●撮影 photo by Fujita Masato

 そのほか、37分に厚みのあるサイド攻撃から最後は20番(ファン・バン・ズク)にシュートを放たれたシーン、38分にGK権田修一(サガン鳥栖)と吉田の意志疎通を欠いたパス交換が招いた危ないシーンもあったが、日本はいずれも事なきを得ている。

 前半の日本は予想どおりの展開で苦戦を強いられたわけだが、後半になるとリズムを取り戻したように見えた。しかし、そう見えたのはあくまでも印象の部分であって、実際に細かく見ていくと、後半から日本の攻撃が機能するようになったわけでもなく、チャンスが増えたわけでもなかった。

 たとえば、後半のボール支配率は前半の69.2%から67%にやや低下。終盤にベトナムがリスクをかけて攻めた時間帯に、日本が受けに回ったことがその原因だろう。

 また、日本は縦パスの回数も減って、後半の柴崎の縦パスは8本に激減。遠藤航(シント・トロイデン)の縦パスは増減がなく前半後半ともに6本のままで、吉田に関してはサイドへのロングフィードがなくなったうえ、中央方向への縦パスがロングフィードも含めてわずか3本に減っている。

 試合後の会見で、後半に縦パスが減った原因について聞かれた森保監督は、「データ的にも自分としても、そういう認識はない」と答えていたが、実際は縦方向へのパスが減少していたことは明らかだった。もちろん、縦パスがすべてではないのでそれ自体に問題はないが、少なくとも森保監督自身も後半の内容に悪い印象を持っていないことは、そのコメントからも伺えた。

 では、ボール支配率も縦パスも減少しながら、なぜ後半の日本はペースをつかんだように見えたのか。

 考えられる理由は、まずベトナムの選手が時間の経過とともに消耗したことが挙げられる。実際、パク・ハンソ監督もそれを想定していたのか、後半に入って54分、63分、75分と、交代カードを切ってフレッシュな選手を投入。勝機を見出そうとしたが、後半は2列目のスライドにズレが生じた結果、日本にパス回しをしやすい状況を与えてしまっていた。

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